過去の羽田での風速に注目してみます。
羽田で観測した最大風速は34.8m/s トラックが倒れる風
記録が残っている羽田での最大風速は2019年10月12日の34.8m/s(68kt)です。走行中のトラックが横転しうる強風です。なぜこのような強風が吹いたかというと10月ということからも台風が原因ではないか、と推測できますね。これだけの風が吹くと羽田空港の飛行機もストップしそうです。
2019年10月12日の天気図を見てみます。

やはり台風がありました。「1919」と書かれているのは19年の19号を意味します。2019年台風19号ハギビスによる強風が羽田に吹いていると考えられます。「ハギビス」はフィリピンがつけた名前で「素早い」を意味しますが、名前は台風発生以前に決められているものなので、この台風の特性を意味しているものではありません。
実際に2019年台風19号の威力は凄まじく、死者・行方不明者108名をだし、平成以降最悪の台風被害となりました。

台風19号は羽田空港を右手に見ながら北側を通過していきました。「台風の右に立てば右巻きに風が変化する」とされています。

台風が羽田に最接近したのは12日21時頃でしたが、それ以前は南東からの風だったのが21時には南寄りの風になり、22時には南西、23時には西よりの風になりました。風向きが時計回り(右回り)に変化しているので羽田空港は台風の右手に位置していたことがわかります。
次に同じ日の羽田の気温を見てみましょう。特徴的なのは台風が遠ざかって行ったと思われる23時から24時にかけて気温が1℃以上上昇していることです。

23時に22.5℃を記録してから24時に23.8℃まで気温が上昇しています。
通常は太陽が沈んで夜遅くになるにつれ、徐々に気温が右肩下がりになるはずですが、深夜に急上昇しています。さらに翌日未明の気温も見てみましょう。

13日の気温も太陽が昇らないうちから気温が上昇傾向で午前3時に25.9℃を記録しました。これは台風が北へ過ぎたあとに台風中心へ向かう南からの暖かい風が吹いたためと考えられます。
次に気圧を見てみます。台風がもっとも接近した時間を知るには海面気圧を見るのがわかりやすいです。次のグラフは【東京】のアメダスの2019年10月12日の海面気圧です。【東京】の観測機は皇居周辺の北の丸公園に設置されています。【羽田】の記録があればよかったのですが、羽田は海面気圧を記録していないので東京のグラフを使用しています。

21時に海面気圧の最低値968.4hPaを記録しています。台風の中心はもっとも気圧が低いので、東京の気圧がもっとも低いときが台風の中心が最接近したときになります。
21時の最低値にいたるまでもじりじりと気圧が下がっており、台風が近づいているのがわかります。
続いて降水量を見てみましょう。

21時に最接近した台風ですが、降水量が多かった時間は午前8時の19.5mm/h。次のピークは14時と15時となり、何度か降水の多い時間の山があるのがわかります。そして台風が最接近した21時頃はあまり雨が強くなく、24時以降は翌日も含めて降水量が0mmになりました。
台風の構造の話になりますが、台風を衛星から見ると中心の台風の眼は雲が無く、眼から外側へ向かうと、雲が濃い所→薄い所→濃い所→薄い所….というように交互に雲の濃さが変わります。
この雲の濃さの違いが、降水量の多い時間と少ない時間のムラを生み出していると考えられます。

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