川辺を歩いていると、水面を青い光がすーっと横切ることがあります。
「今のは何?」と思ったら、カワセミかもしれません。
小さな体に、きらりと光る青い背中。カワセミは「水辺の宝石」と呼ばれる美しい鳥です。じつは、山奥の清流だけでなく、街中を流れる川や公園の池にも姿を見せることがあります。
漢字ではカワセミを「翡翠」と書き、宝石の「翡翠(ひすい)」と同じ字を使います。英語名は kingfisher(キングフィッシャー)。「魚とりの王さま」や「魚とり名人」を思わせる名前です。

「翡翠(カワセミ)」は、青と赤の羽をもつ鳥
「翡翠」という漢字は、中国でカワセミを表す名前に使われていました。「翡」は赤い羽、「翠」は青や緑の羽を表すという説明があります。カワセミの背中の青緑色と、おなかの赤茶色にぴったりの名前ですね。
オスを「翡」、メスを「翠」と呼んだことに由来するという説もあります。
宝石の翡翠も、カワセミの美しい羽の色にちなんで名づけられたとされています。鳥の羽の輝きが、宝石の名前にも残っているのです。
英語名は「魚とりの王さま」
英語名の “kingfisher(キングフィッシャー)”は、「king(王)」と「fisher(魚をとるもの)」を組み合わせた名前です。まさに「魚とりの王さま」や「魚とり名人」!
水面をじっと見つめ、魚を見つけると一直線に飛びこむカワセミにぴったりです。鮮やかな羽をまとった小さな狩人を思い浮かべると、なんだか王さまらしく見えてきませんか。
青い羽は、青色ではない?
カワセミの背中は、宝石のような青色。ところが、この青色は、羽に青い色素がついているからではありません。
羽のとても小さなつくりに光が当たることで、青く見える「構造色(こうぞうしょく)」です。シャボン玉が光の具合で色を変えるのに少し似ています。光の角度によって、青がきらりと輝いたり、緑がかって見えたりすることもあります。
じつは街の水辺にもいる!
カワセミは、日本各地の川や池、湖などにすんでいます。山の中だけでなく、市街地を流れる川や公園の池で見られることもあります。人家の近くに巣をつくる例も報告されていて、意外と身近な鳥なのです。
探すときは、川や池の水面だけでなく、水辺の枝や杭にも注目してみましょう。カワセミは、そこに止まって魚を探すことがあります。いつもの通学路や公園にも、青い宝石がひそんでいるかもしれません。
じっと待って、見つけたら一直線!
魚とりの始まりは、意外にも静かです。
カワセミは、水辺の枝や杭に止まって、水面をじっと見つめます。近くに止まる場所がないときは、空中で羽ばたきながら同じ場所にとどまる「ホバリング」をして、魚をねらうこともあります。
「ここだ!」
魚を見つけたら、水へ向かって一直線。水しぶきを上げて飛びこみ、長いくちばしで魚を捕まえます。捕まえた魚は、石や枝に打ちつけてから丸のみします。小さな体からは想像できない、力強い狩りですね。
魚だけじゃない?カワセミのごちそう
カワセミの食べものは、魚だけではありません。エビや水生昆虫、カエル、オタマジャクシなどを食べることもあります。水辺は、カワセミにとって食べものを探す大切な場所なのです。
巣は、川岸に掘ったトンネル!
魚とり名人のカワセミは、子育ての家も自分で用意します。木の枝に巣を作るのではなく、川岸や崖の土に穴を掘るのです。
穴掘りでは、長いくちばしがツルハシのように土をくずします。そして、土を外へかき出すときに活躍するのが、カワセミの合趾足(ごうしそく)です。
合趾足とは、前を向いた3本の指の根元がくっついた足のこと。カワセミの足は、掘った土をかき出す小さな「シャベル」のような働きをします。くちばしで土をくずし、足でかき出す――小さな体に、穴掘りの道具をそなえているのですね。
こうして掘った巣穴は、奥へ続くトンネルのような形で、深さは50〜100センチほどになることがあります。入り口から奥へ進んだところに、卵を産む場所があります。川岸に穴を見つけても、巣とは限らないので、近づかずそっと見守りましょう。

カワセミ図鑑
| 項目 | カワセミの基本情報 |
|---|---|
| 分類 | ブッポウソウ目・カワセミ科 |
| 学名 | Alcedo atthis |
| 全長 | 約17cm |
| 体重 | 約24〜34g |
| 翼を広げた長さ | 約25cm |
| 渡り | 留鳥(りゅうちょう)。一年を通して見られる鳥。地域によっては冬に移動する個体もいる |
| すむ場所 | 川、池、湖などの水辺 |
| 食べもの | 魚、エビ、水生昆虫、カエル、オタマジャクシなど |
| 巣 | 土の崖や川岸に掘ったトンネル状の穴 |
| 鳴き声 | 「ツィー」「チーッ」など(自転車のブレーキ音ぽい) |
カワセミは、スズメより少し大きいくらいの小さな鳥です。オスとメスはよく似ていますが、オスのくちばしは全体が黒く、メスは下のくちばしが赤っぽいので見分けられます。
鳥検定ポイント:「全長」は、くちばしの先から尾の先までの長さです。カワセミは「ブッポウソウ目カワセミ科」「全長約17cm」「留鳥」と覚えておきましょう。
いつもの水辺で、青い宝石を探そう
「翡翠」という美しい漢字に、「魚とりの王さま」という英語名。カワセミは、名前にも羽にも魅力がつまった鳥です。
水面を見つめる静かな時間。魚を見つけて飛びこむ一瞬。川岸の土を掘って作るトンネルの巣。街の川や池にも、そんなカワセミのくらしが続いています。
次に公園の池や川辺を歩くときは、水辺の枝や杭にも目を向けてみてください。青い光が見つかったら、魚とり名人の狩りが始まるところかもしれません。
カワセミを見つけても、近づきすぎたり、大きな音を出したりせず、そっと観察しましょう。

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