卵からかえったばかりのヒナといえば、親に餌をもらう姿を思い浮かべるかもしれません。
でも、オーストラリアツカツクリのヒナはちょっと違います。地面の下で卵からかえると、自分で土を掘って地上へ。親に餌をもらわずに、自分の力で暮らし始めるのです。
まるで「生まれたら、すぐ自分でがんばってね!」と言われているみたい。いったい、どうやって生まれてくるのでしょう?
オスがつくる、落ち葉の「卵あたため山」
オーストラリアツカツクリのオスは、落ち葉や土、植物のかけらを集めて、大きな塚をつくります。
落ち葉などは、土の中で微生物に分解されると熱を出します。その熱で塚の中の卵を温めるのです。オスは塚をつくるだけでなく、ほかのオスから卵を守ることもあります。

オスは「塚の温度係」
卵を温めるのにちょうどよい温度は、約34℃。オスはくちばしを塚に入れて温度を確かめ、落ち葉や土を足したり、取り除いたりします。塚が熱すぎたり、冷たすぎたりしないように調整するのです。
メスは、温度がちょうどよくなった塚に卵を産みます。複数のメスが、同じ塚に卵を産むこともあります。卵は塚の中で約50日温められます。
地面の下でかえたヒナ、出口も自分で掘る
卵は塚の中、つまり地面の下でかえります。ヒナは、親に掘り出してもらうのではなく、自分で土や落ち葉をかき分けて地上へ向かいます。
地上に出るまでにかかる時間は十数時間にもおよぶという記録があります。暗い土の中を、自分の力で掘り進むのです。
羽毛のある姿で生まれ、すぐに走る!
地上へ出てきたヒナには、もう羽毛が生えています。走ることができ、数時間後には飛べるほど発達しています。そして親から餌をもらわず、自分で食べ物を探し、身を隠します。
親が「こっちだよ」と案内したり、「ごはんだよ」と餌を運んだりはしません。地上に出たばかりのヒナには、自分で危険を避けて生きていく大変さがあります。
「天涯孤独」なのは、かえたあと
タイトルの「天涯孤独」は、ヒナがかえったあとに親から餌やりや世話を受けない、という意味です。親が何もしないわけではありません。
オスは塚をつくり、温度を調整し、塚を守ります。メスはその塚に卵を産みます。親の大仕事は、ヒナが生まれる前に行われます。かえったあとは、ヒナが自分の力で生き始めるのです。
落ち葉の塚にかくれた、親子それぞれの大仕事
オーストラリアツカツクリでは、オスが塚をつくって卵を温め、ヒナは自分で土を掘って地上へ出てくるという、鳥の中でもとても珍しい子育てが見られます。
親は生まれる前に塚を整え、ヒナは生まれたあと自分の力で進む。森の落ち葉の山には、親とヒナ、それぞれの大仕事がかくれているのです。
※ツカツクリの仲間には、種類によって太陽で温まった砂など、別の熱を利用する鳥もいます。

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