みなさんは、卵からかえった鳥のヒナにどんなイメージがありますか?
黄色いふわふわのヒヨコを思い浮かべる人が多いかもしれません🐥 それも正解です。でも、羽毛がほとんどなく、目も開かないまま卵からかえる鳥もいます。
なぜ、こんなに違うのでしょう? ヒントは、卵の中でどこまで育ってから生まれるか、そして生まれたあとにどんな世話を受けるかにあります。
生まれたときの姿は、鳥によってちがう
ヒナが卵から出てくることを**孵化(ふか)**といいます。
孵化したときに目が開いていて、羽毛があり、歩いたり動いたりできるヒナは、**早成性(そうせいせい)**と呼ばれます。ウズラやニワトリがその例です。
一方、孵化したときに目が開いておらず、羽毛も少なく、自分で動いたり食べたりするのが難しいヒナは、**晩成性(ばんせいせい)**と呼ばれます。スズメなど、多くの小鳥がこのタイプです。
鳥のヒナは、この二つにきっぱり分かれるわけではありません。目の開き方や羽毛の生え方、動きやすさなど、鳥によっていろいろな段階があります。早成性と晩成性は、成長のしかたを比べるための目安です。
卵の中で、どこまで育つ?
卵の中のヒナは、卵黄や卵白に蓄えられた栄養を使って育ちます。
早成性の鳥は、卵の中で体をよく育ててから生まれる傾向があります。卵黄の割合も高い傾向があるとされ、ある解説では、晩成性の鳥で卵全体の約15〜20%、早成性の鳥では約35%という目安が紹介されています。
これは、いろいろな鳥を比べたときのおおよその傾向です。鳥の種類によって卵の大きさや中身は違うので、すべての卵に当てはまるわけではありません。
親の仕事は、ヒナが生まれる前と後でちがう
親鳥が卵を温める期間を、**抱卵期間(ほうらんきかん)**といいます。
スズメの卵は、だいたい10〜14日でかえります。ウズラの卵は、だいたい17〜18日でかえります。どちらも小さな鳥ですが、ウズラのほうが卵を温める期間は長めです。
ウズラのヒナは、卵の中で体をよく育ててから生まれます。かえると、羽毛が生えていて、自分で動くことができます。親といっしょに巣を離れられるのがよいところです。でも、親はヒナを守ったり、餌のある場所へ連れていったりします。卵を温めている間も、かえったあとも、親の仕事は続きます。
スズメのヒナは、ウズラより早く卵からかえります。でも、目が閉じていて、羽毛もほとんどありません。巣の中で親から餌をもらいながら育ちます。ヒナは早く生まれてこられますが、そのぶん親は、かえったあとに餌を運んだり、温めたりする仕事で大忙しです。
たとえるなら、ウズラのヒナは卵の中で準備をしてから出発する子。スズメのヒナは早めに生まれて、巣の中で親に手伝ってもらいながら育つ子です。どちらも、親がヒナを育てる方法のひとつです。
※抱卵期間は鳥の種類や卵を温める環境によって変わります。ここでは、それぞれの鳥によく見られる日数を紹介しています。
早成性は「卵の中で先に準備」
早成性のヒナは、卵の中で体をよく発達させてから生まれます。ウズラのヒナのように、かえってすぐに動ける鳥もいます。
よいところは、生まれたあとすぐに動けること。親といっしょに巣から離れて過ごせます。
大変なところは、生まれる前に卵の中で体を育てるため、卵にたくさんの栄養が必要になることです。また、動けるようになったあとも、親はヒナを守ったり、餌場へ連れていったりします。歩けるからといって、すぐにひとりで暮らせるわけではありません。
晩成性は「生まれてから親と成長」
晩成性のヒナは、かえったばかりのころ、自分で餌をとったり、体を温めたりするのが苦手です。巣の中で親に餌を運んでもらい、温めてもらいながら成長します。
よいところは、ヒナが生まれたあとも親から餌をもらいながら育てることです。
大変なところは、親が餌を探して巣に運び、ヒナを温め、守り続けなければならないこと。親は何度も巣と餌場を行き来します。
ウズラとツグミの仲間を比べた研究では、調べたツグミの仲間は、ウズラより孵化後の成長が速い例として示されています。ただし、比べたのは二種類の鳥です。「晩成性の鳥はみんな速く育つ」とは言い切れません。
鳥によって、育ち方はいろいろ
ツカツクリの仲間は、土や植物を積み上げた「塚」の中に卵を産みます。塚の熱で卵が温まり、かえったヒナは親の世話を受けずに塚から出てくるほど発達しています。早成性の中にも、こんな珍しい鳥がいます。
卵の中でしっかり育ってから生まれるヒナも、生まれたあとに親といっしょに育つヒナもいます。「早成性だからひとりで平気」「晩成性だから弱い」と決めつけず、親がどう守り、ヒナがいつ動き出すのかを見てみましょう。
次にウズラやスズメのヒナを見かけたら、「このヒナは、卵の中でどこまで準備してきたのかな?」と想像してみてください。鳥の子育てが、もっと面白く見えてきます。

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