湿気が多いと空気は重くなる?軽くなる?

むし暑い日に、「空気がまとわりついて重たいなあ」と感じたことはありませんか? ところが、同じ温度・同じ気圧で空気そのものを比べると、湿った空気のほうが乾いた空気より少し軽いのです。

ここでいう「軽い」は、同じ体積の空気にどれくらい重さがあるか、という意味です。この「体積あたりの重さ」を、理科では「密度」といいます。じめじめして重く感じることと、空気の密度が小さいことは、どうして両立するのでしょう?

目次

空気は目に見えない分子の集まり

空気は、小さな粒である「分子」がたくさん集まってできています。乾いた空気の主な成分は、窒素と酸素です。湿った空気には、それらに水蒸気の分子もまざっています。

同じ大きさの箱を二つ用意し、中の温度と気圧も同じにすると想像してください。一つには乾いた空気、もう一つには水蒸気を多く含む空気を入れます。この条件では、水蒸気が空気にただ足されるのではありません。空気をつくる分子の一部が、水蒸気の分子に入れかわります。

水蒸気にも、もちろん重さがあります。ただし、水蒸気の分子は、窒素や酸素の分子より軽いのです。そのため、同じ温度・同じ気圧・同じ体積で比べると、水蒸気を多く含む空気のほうが、全体として少し軽くなります。

ビー玉を軽い玉に入れかえてみよう

ビー玉がぎっしり入った箱を思い浮かべてください。箱の大きさも玉の数も変えずに、何個かをビー玉より軽いスポンジ玉に入れかえます。箱全体の重さはどうなるでしょう?

少し軽くなりますね。湿った空気も、これに似ています。同じ体積の中で、窒素や酸素の一部が、より軽い水蒸気の分子に入れかわるためです。

ここで大切なのは、「水蒸気には重さがない」ということではありません。水蒸気にも重さはあります。けれど、同じ条件で比べたとき、水蒸気の分子は乾いた空気の主な分子より軽いため、空気全体の密度を小さくするのです。

湿った空気は、いつも上昇するの?

答えは「いいえ」です。湿っているだけで、空気が必ず上昇するわけではありません。

まわりより軽い空気は、浮力を受けて上昇しやすくなります。ただし、空気の動きには風や周囲の状態も関係します。空気の温度も大切です。たとえば、冷たい湿った空気は、暖かい乾いた空気より重くなることがあります。

空気が上へ動くかを考えるときは、水蒸気の量だけで決めず、まわりと比べて暖かいか冷たいか、密度が大きいか小さいか、風がどう吹いているかも見てみましょう。

じめじめを「重い」と感じるのはなぜ?

湿度が高い日は、汗が蒸発しにくく、肌がべたべたして不快に感じることがあります。そんな体感を「空気が重い」と表すこともあります。

でも、これは空気の密度を比べるときの「重い・軽い」とは別の意味です。体感では重たく感じても、同じ温度・同じ気圧で空気の密度を比べると、湿った空気のほうが少し小さい。この二つは矛盾しません。

今日のまとめ

  • 同じ温度・同じ気圧なら、湿った空気は乾いた空気より少し密度が小さい。
  • 水蒸気にも重さはあるが、その分子は窒素や酸素の分子より軽い。
  • 湿っているだけで、空気が必ず上昇するわけではない。まわりとの温度や密度の比較に加え、風や周囲の状態も関係する。
  • 「じめじめして重く感じる」という体感と、空気の密度の「重い・軽い」は別の話。

湿った空気は、ただ水を足して重くした空気ではありません。目には見えない分子が入れかわる様子を思い浮かべると、「湿気が多いと空気は軽くなる」というふしぎな答えが見えてきます。

参考資料

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この記事を書いた人

図書館で勝手に仕事をしている小さな会社のドケチ社長。口癖は「コーヒーの一滴は血の一滴」

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