
空港で飛行機を見ても、「どれも同じに見えるなあ」と思ったことはありませんか。
そんなときは、翼の下にあるエンジンの後ろを、ちょっと眺めてみてください。ふちが王冠のようにギザギザで、翼がすらりと長い。その飛行機は、ボーイング787かもしれません。
愛称は「ドリームライナー」。遠い街へ直行する旅を広げ、日本の国内線でも活躍する飛行機です。この記事では「B787」と呼びながら、見た目の特徴、3つのシリーズ、スペック、誕生からの歩みをたどります。
まず覚えるのは、ギザギザのエンジンと、しなやかな翼。名前をひとつ知るだけで、次に空港へ行く楽しみが少し増えます。
オチュンB787はどんな飛行機
B787は、アメリカの航空機メーカー「ボーイング」がつくる、エンジンが2基、客室の通路が2本ある旅客機です。BはBoeingの頭文字。メーカーの機種名は「787」で、航空会社の案内などでは「B787」とも書かれます。
通路が2本ある飛行機を「双通路機」や「ワイドボディ機」と呼びます。B787はその中の中型クラス。国際線の長い旅を得意としながら、日本では国内線にも使われています。
大きな特徴は、燃料を効率よく使いながら、遠くまで飛べること。巨大な飛行機をいっぱいにするほどの利用者が集まらない街同士にも、直行便を結びやすくすることを狙って生まれました。
たとえば、途中の大きな空港で乗り換えていた旅が、目的地までひと続きになる。B787の魅力は、そんな「行きたい場所への近づき方」にもあります。
ほかの飛行機の中ではどんな立ち位置
空港の飛行機を、サイズと仕事でざっくり眺めてみましょう。
| 仲間 | 覚えておきたい立ち位置 |
|---|---|
| ボーイング737やエアバスA320 | 通路が1本。近距離や中距離の路線でよく出会う |
| ボーイング787 | 通路が2本ある中型クラス。遠くへの直行便から日本の国内線まで活躍 |
| ボーイング777 | 通路が2本ある大型クラス。多くの人を運ぶ路線で活躍し、787と仕事が重なることもある |
| エアバスA330やA350 | 787と同じく通路が2本、エンジンが2基。仕様によって同じような路線を受け持つ仲間でありライバル |
この区分は大まかなもの。座席の数や飛べる距離は、機種の細かな違いと航空会社の使い方で変わります。
「767の次の世代」と紹介されることもあるB787ですが、引き継ぐ仕事はそれだけではありません。ANAは、国内線の777を更新する機材として787-10を選びました。機種の数字が大きい順に、大きさや役割が並ぶわけではないのです。



空港でB787を見分けるヒント


エンジンの後ろのふちと、翼全体の形に注目。特徴を見やすくしたイラストです。
エンジン後ろのギザギザを探す
最初の目印は、エンジンを包むカバーの後ろのふち。B787では、ここがギザギザの形になっています。「シェブロン」と呼ばれ、騒音を抑えるための工夫です。
「エンジンの後ろが王冠みたい」と覚えておけば、専門用語を忘れても大丈夫。横から少し後ろ寄りに見えると、探しやすいポイントです。
ただし、737 MAXにも同じようなギザギザがあります。ギザギザを見つけたら、翼と機体全体も見る。これが見分けるコツです。
細長い翼と先端の形を見る
B787の翼は、根元から先へすらりと伸びています。先端は後ろへ流れるように細くなり、板を立てたような大きな翼端の部品はありません。この後ろへ伸ばした先端を「レイクド・ウイングチップ」と呼びます。
飛んでいるときには、翼が上へしなる姿も見どころ。地上で止まっているときと、空を飛んでいるときで印象が変わります。ただ、しなる翼はB787だけの特徴ではありません。
コクピットの窓は全部で4枚


同じB787を左右から見たイラスト。片側に前面窓1枚と側面窓1枚があり、左右合わせて計4枚です。
機体の「顔」にある操縦室(コクピット)の窓もヒントになります。B787は、前面に2枚、左右の側面に1枚ずつの合計4枚。1枚ずつが大きく、すっきりした顔つきです。
ただし、見る角度によっては側面の窓が隠れ、4枚すべてを数えられるとは限りません。窓の数だけで決めず、エンジン後ろのギザギザや翼の形と合わせて見てみましょう。
「ギザギザ」「長い翼」「コクピットの4枚窓」がそろったら、B787かも、と候補にしてみましょう。最後は胴体に書かれた機種名や、航空会社の機材紹介で答え合わせできます。
機内では大きな窓にも注目
乗る機会があれば、窓も観察してみてください。B787の窓は大きく、ボタンで明るさを変える電子調光式です。窓の色がゆっくり変わる様子は、ちょっと不思議で楽しい体験です。
JALは、従来の中型機より窓を約1.3倍に拡大し、明るさを5段階で調整できると紹介しています。機内全体の明るさをそろえるため、乗務員側で調整されることもあります。



イラストで比べる787の3シリーズ


胴体の長さの違いをつかむためのイラストです。翼・窓・ドアなどの細部は簡略化しています。正確な寸法は次の表をご覧ください。
B787の旅客型は、787-8、787-9、787-10の3シリーズ。末尾の数字が大きくなると、胴体が長くなります。一方、翼を広げた幅は3機種とも60.1メートルです。
787-8は最初に生まれたコンパクトな仲間
3シリーズで最も短く、全長は56.7メートル。2011年、B787として最初に旅客便へ登場したのがこの型です。シリーズの中では比較的少ない座席数で、遠くまで飛べるのが持ち味です。
787-9は長さと航続距離のバランス役
全長は62.8メートル。-8より6.1メートル長くなっています。座席を増やせるだけでなく、メーカーが現在示す最大航続距離は3シリーズで最も長い型です。遠くの街へ向かう旅で頼りになる仲間です。
787-10は最も長くて大勢を運べる仲間
全長68.3メートルで、-9からさらに5.5メートル長くなっています。多くの座席を設けられる一方、メーカー公表の最大航続距離は-9より短くなります。
覚え方は、「-10は最長の胴体、-9は最長の航続距離」。大きくなれば、必ずもっと遠くまで飛べる、という関係ではありません。



-8と-9と-10を見分けるには
並べると胴体の長さは分かりやすくても、1機だけを遠くから見て当てるのは難しいものです。写真の角度でも長さの印象は変わります。
まずは「787を見つけた」で十分。シリーズまで知りたくなったら、予約画面の機材名や、機体に書かれた登録記号を、航空会社の資料と照らし合わせてみてください。日本登録の機体なら「JA」で始まります。登録記号は、その飛行機を識別する車のナンバーのようなものです。
スペックで見るB787
数字は全部覚えなくても大丈夫。長さは約57〜68メートル、翼の幅は約60メートルとつかめれば、空港での見え方が変わります。
| 項目 | 787-8 | 787-9 | 787-10 |
|---|---|---|---|
| 全長 | 56.7 m | 62.8 m | 68.3 m |
| 翼幅 | 60.1 m | 60.1 m | 60.1 m |
| 全高 | 16.9 m | 17.0 m | 17.0 m |
| 座席数の目安 2クラス | 200〜275席 | 250〜325席 | 300〜375席 |
| メーカー公表の最大航続距離 | 14,820 km | 15,370 km | 13,890 km |
| エンジン数 | 2基 | 2基 | 2基 |
| 客室の通路 | 2本 | 2本 | 2本 |
仕様は2026年11月3日確認のメーカー公表値です。航続距離はメーカー公表の「最大」表示です。個々の機体の仕様、乗客や貨物の量、風などで実際に飛べる距離は変わります。
座席数の「2クラス」は、ビジネスとエコノミーなど2種類の客室を設けた場合のメーカーの目安です。法律上の最大座席数や、すべての航空会社に共通する定員ではありません。
たとえば、ANAの国内線用787-10は429席。同じ787でも、ゆったりした座席を多く置く長距離便と、多くの人を運ぶ国内線では、客室のつくり方が違うのです。
巡航速度の目安はマッハ0.85。マッハは音の速さを基準にした単位で、時速に換算した速さは高度や気温で変わります。エンジンには、GEのGEnx-1Bか、ロールス・ロイスのトレント1000が使われます。
B787の新しさは材料と客室にもある
炭素繊維を使った軽くて強い機体
B787は、炭素繊維を樹脂で固めた材料などの「複合材料」を、胴体や翼に広く使っています。機体構造の約50%が複合材料で、これは重さの割合です。
機体を軽くすることに加え、翼の形やエンジン、機内で使うシステムなどにも工夫を重ね、燃料を効率よく使えるようにしました。「材料ひとつで遠くへ飛べる」のではなく、いろいろな工夫の合わせ技です。
空の上でも過ごしやすくする工夫
高い空では外の気圧が低いため、飛行機は機内の気圧を調整しています。B787は、巡航中の客室を標高約1,800メートルに相当する気圧に保てる設計で、従来の旅客機より湿度も高められます。
これは飛んでいる高さが1,800メートルという意味ではありません。もっと高い空を飛びながら、室内の環境を整えているのです。体調や快適さの感じ方には個人差がありますが、長い旅を過ごしやすくするための工夫が、窓の外から見えないところにも詰まっています。



B787の歴史と日本とのつながり
B787は、日本とも縁の深い飛行機です。計画を本格的に動かすきっかけになったのは、2004年のANAによる50機の発注でした。当時の計画名は「7E7」。ANAは最初の発注者で、開発にも関わる「ローンチカスタマー」になりました。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2004年4月 | ANAの50機発注を受け、7E7の計画が正式に始動 |
| 2009年12月15日 | 最初の787が初飛行。試験のために空へ |
| 2011年9月 | ANAへ最初の787-8を納入 |
| 2011年10月26日 | ANAの成田〜香港チャーター便で世界初の旅客運航 |
| 2011年11月1日 | ANAの羽田〜岡山・広島で国内定期便の運航を開始 |
| 2013年 | 電池の不具合で運航停止。改修と承認を経て運航を再開 |
| 2014年8月 | 胴体を伸ばした787-9が、ANAで世界初の定期運航を開始 |
| 2018年3月 | 最も長い787-10をシンガポール航空へ初納入 |
年表の出典は、記事末尾の「出典・参考資料」にまとめています。
「初飛行」は試験で飛び始めた日、「初納入」は航空会社へ引き渡した時期、「就航」は旅客便などで使い始めたこと。初めて空へ飛んだ日と、私たちが乗れるようになった日は違うのですね。
その歩みには、立ち止まって改良した時期もあります。2013年には電池の不具合で運航が止まり、電池や充電器の改良、過熱の影響を封じ込めるための容器の追加などが行われました。ANAは同年6月1日に定期運航を再開しています。
3シリーズがそろった後も改良は続いています。2026年には787-9と787-10で、より重い状態で離陸できる仕様が認証されました。航空会社の選択によって、積める貨物や航続距離を増やすための改良です。



次に空港へ行ったらB787を探してみよう
次に空港で飛行機を待つ時間があったら、エンジンの後ろを眺めてみてください。
ギザギザを見つけたら、翼を先まで目で追う。細長い姿に気づいたら、機体名も確かめてみる。乗る機会があれば、大きな窓の向こうに広がる景色も楽しんでみる。
そして「これは-8かな、-9かな」と気になったら、3兄弟のイラストを思い出してください。最も短い-8、遠くまで飛べる-9、最も長い-10。名前の後ろに、それぞれの個性が隠れています。
ただ空に浮かぶ大きな乗り物が、少し見覚えのある旅の仲間になる。B787は、そんな飛行機との出会いにぴったりの一機です。



仕様と公式情報の確認日:2026年11月3日。イラストは機種の特徴を伝えるための表現で、実機の細部をすべて再現したものではありません。
オチュンと復習する5問クイズ
気になる選択肢をタップすると、正解と解説が開きます。同じ問題では、別の選択肢を開くと前の答えが閉じます。
第1問 B787を見分けるコツ
エンジンの後ろにギザギザがある飛行機を見つけました。B787か確かめるには?
A ギザギザがあれば、必ずB787と判断する
不正解です。 正解は「B 細長い翼や機体全体も見て、機種名などで確かめる」です。
737 MAXにもエンジン後ろのギザギザがあり、翼がしなる飛行機もB787だけではありません。特徴を組み合わせ、最後は機種名や航空会社の資料で答え合わせしましょう。
B 細長い翼や機体全体も見て、機種名などで確かめる
正解です。 正解は「B 細長い翼や機体全体も見て、機種名などで確かめる」です。
737 MAXにもエンジン後ろのギザギザがあり、翼がしなる飛行機もB787だけではありません。特徴を組み合わせ、最後は機種名や航空会社の資料で答え合わせしましょう。
C 翼が上へしなっていれば、必ずB787と判断する
不正解です。 正解は「B 細長い翼や機体全体も見て、機種名などで確かめる」です。
737 MAXにもエンジン後ろのギザギザがあり、翼がしなる飛行機もB787だけではありません。特徴を組み合わせ、最後は機種名や航空会社の資料で答え合わせしましょう。
第2問 3シリーズの違い
「胴体が最も長い型」と「本文で紹介したメーカー公表の最大航続距離が最も長い型」は、どの組み合わせ?
A 胴体は787-9、航続距離は787-10
不正解です。 正解は「C 胴体は787-10、航続距離は787-9」です。
胴体が最も長いのは787-10、本文のメーカー公表値で最大航続距離が最も長いのは787-9です。実際に飛べる距離は、機体の仕様や乗客・貨物の量、風などで変わります。
B 胴体も航続距離も787-10
不正解です。 正解は「C 胴体は787-10、航続距離は787-9」です。
胴体が最も長いのは787-10、本文のメーカー公表値で最大航続距離が最も長いのは787-9です。実際に飛べる距離は、機体の仕様や乗客・貨物の量、風などで変わります。
C 胴体は787-10、航続距離は787-9
正解です。 正解は「C 胴体は787-10、航続距離は787-9」です。
胴体が最も長いのは787-10、本文のメーカー公表値で最大航続距離が最も長いのは787-9です。実際に飛べる距離は、機体の仕様や乗客・貨物の量、風などで変わります。
第3問 B787はどんな役割の飛行機
B787の立ち位置を説明したものは、どれ?
A 通路が2本ある中型クラスで、長距離の国際線にも日本の国内線にも使われる
正解です。 正解は「A 通路が2本ある中型クラスで、長距離の国際線にも日本の国内線にも使われる」です。
B787は通路が2本ある中型クラスの旅客機です。燃料を効率よく使って遠くへ飛べる一方、日本では国内線でも活躍しています。
B 通路が1本ある小型クラスで、近距離専用
不正解です。 正解は「A 通路が2本ある中型クラスで、長距離の国際線にも日本の国内線にも使われる」です。
B787は通路が2本ある中型クラスの旅客機です。燃料を効率よく使って遠くへ飛べる一方、日本では国内線でも活躍しています。
C 通路が2本ある中型クラスで、日本の国内線では使われない
不正解です。 正解は「A 通路が2本ある中型クラスで、長距離の国際線にも日本の国内線にも使われる」です。
B787は通路が2本ある中型クラスの旅客機です。燃料を効率よく使って遠くへ飛べる一方、日本では国内線でも活躍しています。
第4問 乗ったら窓に注目
B787の窓には、どんな工夫がある?
A 手で板を上下させる方法だけで、明るさを調整する
不正解です。 正解は「B ボタンで明るさを変えられる、電子調光式の窓」です。
B787は大きな電子調光式の窓を備え、ボタンで窓の明るさを変えられます。機内全体の明るさをそろえるため、乗務員側で調整されることもあります。
B ボタンで明るさを変えられる、電子調光式の窓
正解です。 正解は「B ボタンで明るさを変えられる、電子調光式の窓」です。
B787は大きな電子調光式の窓を備え、ボタンで窓の明るさを変えられます。機内全体の明るさをそろえるため、乗務員側で調整されることもあります。
C 大きな窓だが、明るさは調整できない
不正解です。 正解は「B ボタンで明るさを変えられる、電子調光式の窓」です。
B787は大きな電子調光式の窓を備え、ボタンで窓の明るさを変えられます。機内全体の明るさをそろえるため、乗務員側で調整されることもあります。
第5問 旅客便デビューはいつ
B787が世界で初めて旅客便として飛んだのは、どの便?
A 2009年12月15日の初飛行
不正解です。 正解は「C 2011年10月26日のANA成田〜香港チャーター便」です。
世界初の旅客運航は、2011年10月26日のANA成田〜香港チャーター便でした。2009年の初飛行は試験飛行で、ANAの国内定期便は2011年11月1日に始まりました。
B 2011年11月1日のANA羽田〜岡山・広島の定期便
不正解です。 正解は「C 2011年10月26日のANA成田〜香港チャーター便」です。
世界初の旅客運航は、2011年10月26日のANA成田〜香港チャーター便でした。2009年の初飛行は試験飛行で、ANAの国内定期便は2011年11月1日に始まりました。
C 2011年10月26日のANA成田〜香港チャーター便
正解です。 正解は「C 2011年10月26日のANA成田〜香港チャーター便」です。
世界初の旅客運航は、2011年10月26日のANA成田〜香港チャーター便でした。2009年の初飛行は試験飛行で、ANAの国内定期便は2011年11月1日に始まりました。
出典・参考資料
機種の概要と立ち位置
シリーズの仕様と機内
ボーイングの787紹介(ボーイングの仕様表/ボーイング787仕様表/ボーイングのエンジン仕様)
JALの787紹介(JALの速度紹介)
見分け方と技術
ボーイングの技術紹介(ボーイングの窓の説明/ボーイングの客室環境の説明)









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