A350ってどんな飛行機? オチュンと見つける、黒いマスクの空の旅人

海の上を飛ぶA350を見上げるオチュンのイラスト

空港で大きな飛行機を眺めていると、操縦席の窓の周りが黒い、ちょっぴり印象的な顔の飛行機が見えるかもしれません。

すらりと伸びた翼。その下には大きなエンジンがひとつずつ。よく見ると、翼の先が空に向かってくるんと反り上がっています。

その飛行機は、エアバスA350かもしれません。国内線で出会うことも、海の向こうへの旅でお世話になることもある、大きな旅客機です。

飛行機に詳しくなくても大丈夫。まずは「顔」と「翼」から、一緒に観察してみましょう。

オチュン

黒いマスクに、くるんとした翼。どんな旅に連れて行ってくれるのかな?

目次

A350はどんな飛行機?

展望デッキから駐機中のA350-900を眺めたイラスト

A350は、ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスがつくる大型旅客機です。客室の通路が2本ある「双通路機」で、左右の翼の下にエンジンを1基ずつ、合計2基備えています。

エアバスの資料ではA350 XWBという名前も使われています。XWBは「Extra Wide Body(エクストラ・ワイド・ボディ)」の略で、「特に幅の広い胴体」という意味です。現在は「A350」と表記されることも多く、この記事でもA350と呼んでいます。

もともと長い距離を飛ぶことを得意としていますが、活躍の場は遠い国へ向かう便だけではありません。航空会社は、旅客数や機体の仕様に合わせて、国内線や近距離路線にも使います。

たとえるなら、A350はたくさんの人を乗せて遠くまで出かけられる大きな旅のバス。街の間を走るような短い旅にも、そのゆったりした車内で乗れることがあります。

オチュン

遠くへ行ける飛行機に、国内線でも会えるんだね!

エアバスの中での立ち位置は?

同じエアバスのA320ファミリーは、客室の通路が1本の仲間。A350は通路が2本あり、一般により多くの人を乗せる大型機です。

A330も通路が2本、エンジンが2基の大型機で、A350と用途が重なるところがあります。A330から新しいA330neoまで続くファミリーとは別に、A350は新しい設計を基に生まれました。大きさや運航する路線には重なりがあり、「遠くへ行くのは必ずA350」とは限りません。

ボーイングの787や777も、仕様や座席数によってA350と同じような路線で活躍します。同じ空を飛ぶ、頼もしい仲間でありライバルです。

空港で探そう! A350を見分けるヒント

ヒントは黒い「マスク」

展望デッキからA350の操縦席の黒いマスクを観察するオチュン

窓とその周りの黒い部分に注目。見やすいように機首を大きく描いたイメージです。

まずは飛行機の顔を見てください。A350は、操縦席の窓を囲む黒い部分が目を引きます。まるでアイマスクを着けているようで、一度見たら覚えやすい姿です。

光の反射によるまぶしさを抑える工夫をアンチグレア(防眩)と呼びます。JALはA350の窓まわりの黒い部分について、太陽光の反射を抑え、操縦士のまぶしさを軽くするためと説明しています。

A350の黒い窓まわりには、窓の整備や温度管理を助ける役割もあると紹介されています。かっこいい顔には、見た目だけでない工夫もあるのですね。

黒い部分は窓そのものではなく、窓の周りの仕上げも含みます。A330neoなど、ほかの機種にも黒い窓まわりの機体があるため、マスクだけでA350と決めつけないのがポイントです。

長い翼の先が、なめらかに上へ

翼の根元から先を目で追うと、先端が長く伸び、なめらかに上へ反っています。翼の先まで途切れず続く曲線は、空港で見つける楽しみのひとつです。

翼の先からなめらかに立ち上がるA350のウイングレット

A350の翼端にあるウイングレットを大きく描いたイメージです。色や細部は実機と異なる場合があります。

ただし、A330neoやボーイング787にも、しなやかな翼があります。見る角度でも印象は変わるので、顔と翼、機体全体を合わせて眺めてみましょう。

ちなみに、JALのA350のウイングレットには、先端に赤いグラデーションが入ったものがあります。赤から白へ変わる色合いは、お寿司で見かけるホッキ貝の身を思い出しませんか? 飛行機を眺めながら、思わずお寿司が食べたくなりそうです。

赤から白へ変わるJAL A350のウイングレットと、赤白のホッキ貝の身を並べたイラスト

赤いウイングレットと、湯通ししたホッキ貝の身を並べたイメージです。色や形は実物と異なる場合があります。

エンジンとタイヤの数にも注目

A350のエンジンは左右1基ずつ。よく似たエアバスのA340は左右2基ずつ、合計4基です。ただし、エンジンが2基の飛行機はほかにもたくさんあります。

A350の主脚、つまり翼の付け根付近にある大きな脚は、-900では片側4輪、-1000では片側6輪。真横からは車輪が重なるので、それぞれ2つ、3つの車輪が前後に見えます。遠くからは数えにくく、角度によって左右の脚が重なって見えるので、安全な場所から見える範囲で観察してください。

「黒いマスク」「翼」「エンジン」、見えれば「タイヤ」。ヒントを集めて、最後は機体に書かれた登録記号や航空会社の機材紹介で答え合わせできます。

オチュン

ひとつだけで決めないで、ヒントを集めるんだね!

イラストで比べよう! A350の仲間たち

A350-900とA350-1000を横から並べ、長さと主脚の違いを示したイラスト

長さと主脚の違いをつかむためのイメージです。遠近や細部は簡略化しています。正確な寸法は表をご覧ください。

旅客機の主な仲間は、A350-900と、胴体を長くしたA350-1000。さらに、-900を基に超長距離向けにしたA350-900ULRや、荷物を運ぶA350Fがあります。

仲間 全長の目安 航続距離の目安 どんな飛行機?
A350-900 約66.8m 約15,750km 旅客型の基本となる仲間。近距離から長距離まで活躍
A350-1000 約73.8m 約16,100km -900より約7m長く、より多くの座席を設けられる
A350-900ULR 約66.8m 約18,000km -900を基にした超長距離向けの仕様
A350F 約70.8m 約8,700km 大きな貨物室ドアを備える貨物専用機

航続距離はエアバス公表値の一例です。機体の仕様、乗客や貨物の重さ、風などによって変わります。A350-1000は2024年の資料、A350-900は2025年の資料、A350Fは2026年の計画値を参考にしています。

-900ULRは、胴体を長くした別の形ではなく、-900を基に燃料システムなどを工夫した仲間です。A350Fは2026年9月29日に初飛行しました。貨物専用機なので、旅客型の座席数とは比べられません。

-900と-1000、見分けるポイントは?

並べると分かりやすいのは胴体の長さです。-1000は約7メートル長く、航空会社の客室配置にもよりますが、一般的にはより多くの人を乗せられます。

もうひとつの手がかりが主脚のタイヤ。-900は片側4輪、-1000は片側6輪です。真横からは、それぞれ2輪、3輪が前後に見えるのが目安。翼やエンジン、車体に隠れることもあるので、見えないときは無理に数えなくても大丈夫です。

エンジンはどちらもロールス・ロイスのトレントXWBシリーズですが、-900はXWB-84、-1000はより大きな推力を持つXWB-97を使います。

オチュン

長さの違いに、足元の違い。同じ家族でも個性があるね!

数字で見るA350-900の大きさ

まずはA350-900を例に、エアバスの公表値を丸めて見てみましょう。

項目 A350-900の目安
全長 約66.8メートル
翼幅 約64.8メートル
全高 約17.1メートル
座席数 一般的な3クラスで332〜352席、最大440席
航続距離 約15,750キロメートル
巡航速度 マッハ0.85
エンジン 左右の翼の下に1基ずつ、合計2基
客室の通路 2本

翼を広げた幅は、胴体の長さとほぼ同じ。展望デッキでは、翼がどこまで伸びているか目で追ってみると、その大きさを感じられます。

座席数は航空会社のクラス構成や配置によって変わります。航続距離も仕様、搭載量、風などの条件に左右されるため、どんな便でもその距離を飛べるという意味ではありません。マッハは音速を基準にした速さで、時速に換算した数値は高度や気温で変わります。

なぜこんなに遠くまで飛べるの?

A350は胴体や翼などに、軽くて強い炭素繊維を使った複合材料を広く採用しています。素材だけで飛ぶ距離が決まるわけではありません。翼の形、エンジン、燃料の積み方など、さまざまな工夫を組み合わせています。

A350-900ULRは、さらに燃料システムなどを調整し、超長距離の旅に対応した仕様です。エアバスの資料では最大約18,000キロメートルの航続距離が示されていますが、実際の運航は条件によって変わります。

オチュン

体の材料も、翼も、エンジンも。いろんな工夫で遠くへ行くんだね!

A350の歩みをたどろう

A350の計画は2006年に正式に始まりました。そして2013年6月14日、最初のA350-900が初飛行。試験を重ねたあと、世界の空へと羽ばたきました。

年 できごと
2006年 A350の計画が正式に始まる
2013年 6月14日、A350-900が初飛行
2014年 最初のA350-900をカタール航空に引き渡し
2015年 カタール航空でA350-900が就航
2016年 A350-1000が初飛行
2018年 A350-1000とA350-900ULRがそれぞれ就航
2019年 JALのA350-900が羽田―福岡線で就航
2021年 A350Fの計画が始まる
2024年 1月2日、羽田空港でJALのA350と海上保安庁機が衝突。A350初の全損事故
2026年 9月29日、貨物機A350Fが初飛行

2024年1月2日、羽田空港で着陸したJAL516便のA350-900と海上保安庁機が衝突し、両機が炎上しました。A350の乗客・乗員379人は全員脱出して生存しましたが、海上保安庁機の乗員5人が亡くなりました。A350は機体を失い、同型機で初めての全損事故となりました。

日本では、JALが2019年にA350-900を国内線へ導入。A350-1000も、JALの国際線向けの機材として使われています。実際の運航機材は便や時期によって変わります。

乗ってからも楽しい、A350の客室

機内に入ったら、2本の通路や、大きな手荷物棚を見てみましょう。客室照明は時間帯に合わせた演出ができ、旅先へ向かう気分を盛り上げてくれることもあります。

座席や画面、窓の仕様は航空会社や機体によって異なります。「A350なら全部同じ」ではありません。予約するときは航空会社の座席表をのぞいて、自分の乗る飛行機を想像してみてください。

着陸したあと、窓の外の翼をもう一度見てみましょう。さっきまで自分を乗せていた翼が、今度は別の誰かの旅を支えるかもしれません。

オチュン

次に空港へ行ったら、あの黒いマスクを探してみよう!

オチュンと振り返る A350クイズ

選択肢を押すと、答えと解説が表示されます。気軽に挑戦してみてね!

第1問 A350の客室には、通路が何本ある?

A:1本

おしい! 答えは B:2本。 A350は通路が2本ある双通路機です。

B:2本

正解! 答えは B:2本。 A350は通路が2本ある双通路機です。

C:3本

おしい! 答えは B:2本。 A350は通路が2本ある双通路機です。

第2問 A350を見つけるヒントのひとつは?

A:黒い窓まわり

正解! 答えは A:黒い窓まわり。 黒いマスクのような窓まわりが目印。ただし、ほかの機種にもあります。

B:必ずエンジンが4基

おしい! 答えは A:黒い窓まわり。 黒いマスクのような窓まわりが目印。ただし、ほかの機種にもあります。

C:翼がない

おしい! 答えは A:黒い窓まわり。 黒いマスクのような窓まわりが目印。ただし、ほかの機種にもあります。

第3問 A350-900と-1000を比べたとき、胴体が長いのは?

A:-900

おしい! 答えは B:-1000。 -1000のほうが約7メートル長い仲間です。

B:-1000

正解! 答えは B:-1000。 -1000のほうが約7メートル長い仲間です。

C:必ず同じ

おしい! 答えは B:-1000。 -1000のほうが約7メートル長い仲間です。

第4問 最初のA350が初飛行したのは?

A:1993年

おしい! 答えは C:2013年。 2013年6月14日、A350-900が初めて空へ上がりました。

B:2003年

おしい! 答えは C:2013年。 2013年6月14日、A350-900が初めて空へ上がりました。

C:2013年

正解! 答えは C:2013年。 2013年6月14日、A350-900が初めて空へ上がりました。

表紙と挿絵、比較図はAIで制作したイメージです。機体の細部や縮尺は設計図とは異なります。

参考資料

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この記事を書いた人

オチュン社長の付き人

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