
空港で飛行機を見ていても、名前までは分からない。旅先へ着ければ、それで十分。
そんな人にも、知ってほしい飛行機がいます。ボーイング767、通称「B767」です。「ビー・ななろくなな」と読んでみると、少し身近に感じませんか。
日本の街と街を結び、海を越え、ときには荷物を運ぶ。B767は、いろいろな旅を支えてきた飛行機です。以前の旅行で、知らないうちに乗っていたかもしれません。
この記事では、オチュンと一緒に、見た目のヒント、シリーズの違い、スペック、そして空の歴史をたどります。最後には空港で「あれ、B767かな?」と探したくなるはずです。
オチュンB767は「ちょうどよさ」で活躍する中型機
B767は、アメリカのボーイング社が開発したジェット機です。左右の翼の下にエンジンが1つずつ、合計2つ。客室には通路が2本あります。
通路が2本ある飛行機を「双通路機」、胴体が太い仲間を「ワイドボディ機」と呼びます。難しい名前を覚えるより、「小さめの飛行機より多くの人を乗せられて、とても大きな飛行機ほどの座席数を必要としない路線でも使いやすい」と考えると、立ち位置をつかみやすくなります。
旅客型では200〜300席程度の使われ方が代表的ですが、座席数は型や航空会社によって変わります。国内線の短い旅にも、ER型による長い国際線の旅にも対応してきました。
たとえるなら、いろいろな街へ出かける、頼もしい旅のバス。乗せたい人数と飛びたい距離に合わせて選ばれる、その使い勝手のよさがB767の魅力です。
空港で見分けよう! まずはエンジンの「後ろ」から
飛行機の色やマークは航空会社を表します。同じB767でも塗り方は違うので、見分けるときは機体の形を見てみましょう。
B787と迷ったら、エンジンの縁に注目
よく似たB787と比べるときに見つけやすいのが、エンジンを包むカバーの後ろの縁です。
B767はなめらかな縁。B787はギザギザの縁。 見るのは、空気を吸い込む丸い入口ではなく、その反対側です。B787のギザギザは「シェブロン」と呼ばれ、騒音を抑える工夫のひとつです。


遠くて見えないときは、撮った写真を拡大すると気づけることもあります。ただし、これはB767とB787を比べるヒント。ほかにもギザギザのある機種はあるので、これだけで飛行機全部を判定できるわけではありません。
翼の先は、B767の中でも違う
B767-300系には、大きな立ち上がりのない翼と、先が上へ伸びる「ウイングレット」を付けた翼があります。ウイングレットは、翼の先に付く小さな翼です。
さらに、長い胴体のB767-400ERは、翼端が後ろへすっと伸びる形。「レイクド・ウイングチップ」と呼ばれ、上に立つウイングレットとは異なります。「B767の翼の先は、全部同じ」と覚えないことが、見分けるコツです。
最後は機体の「名札」で答え合わせ
形を見て候補が浮かんだら、航空会社の機材紹介や座席表で確かめてみましょう。機体に書かれた「JA」で始まる番号などの登録記号も、機体を調べる手がかりになります。
眺めるだけなら「B767っぽい!」でも十分。ひとつ見つけられると、隣の飛行機も気になってきます。



イラストで比較! B767ファミリーの違い


B767には、大きく分けて短い-200系、中間の-300系、長い-400ERがあります。まずは3つの長さを覚えると、名前の多さに戸惑わずに済みます。
| シリーズ | 全長の目安 | どんな仲間? |
|---|---|---|
| 767-200 | 約48.5m | 最初に登場した、短い胴体の基本型 |
| 767-200ER | 約48.5m | -200の航続距離を延ばした型 |
| 767-300 | 約54.9m | -200から胴体を約6.4m延ばした型 |
| 767-300ER | 約54.9m | -300の航続距離を延ばした型 |
| 767-400ER | 約61.4m | -300系からさらに約6.4m延長。翼端も改良 |
| 767-300F | 約54.9m | 人の代わりに貨物を運ぶ専用型 |
ERは「遠くへ行ける」の印
ERは「Extended Range」の略で、航続距離を延ばした型という意味です。ERが付いたら胴体も長くなる、という意味ではありません。 -300と-300ERの全長は、どちらも約54.9mです。
遠くまで飛ぶための燃料や重量への対応などが違いますが、外見はよく似ています。ウイングレットの有無だけでER型と決めることもできません。見分けにくい組み合わせがある、と知っておけば大丈夫です。
Fは荷物を運ぶ「フレイター」
Fは貨物機を表す「Freighter」の頭文字。767-300Fは、旅客型のような客室の窓が並ばず、胴体の横に大きな貨物ドアがあります。機首が持ち上がって開くタイプではありません。
最初から貨物機として造られた-300Fのほか、旅客機を貨物機に改造した仲間もいます。ボーイングの改造貨物機は「BCF」と呼ばれます。人の旅を運んでいた機体が、荷物を運ぶ仕事に移ることもあるのです。



B737・B787・B777の中で、どんな立ち位置?
ほかのボーイング機と並べると、B767の大きさや役割が見えてきます。
| 代表例 | 全長の目安 | 客室の通路 | 役割のイメージ |
|---|---|---|---|
| B737-800 | 約39.5m | 1本 | 比較的少ない人数を、短〜中距離で運ぶ |
| B767-300 | 約54.9m | 2本 | 小型機と大型機の間を受け持つ中型機 |
| B787-8 | 約56.7m | 2本 | 新しい技術で中型機の仕事を担い、長距離も得意 |
| B777-200ER | 約63.7m | 2本 | 一般により多くの人を運ぶ大型機 |
役割の説明は代表例を比べた目安で、実際に飛ぶ路線には重なりがあります。
注目したいのは、B767-300とB787-8の全長が意外に近いこと。同じような人数を運ぶ仕事を、新しい世代のB787が引き継ぐ場合もあります。ただし、翼の幅や胴体の太さ、機内の設備まで同じではありません。
また、B767-400ERはB787-8より長いので、「B767なら、どれもB787より短い」とも言い切れません。数字の名前だけで、年代順や大きさ順に並べる必要はありません。
スペックを見てみよう。同じB767でも、こんなに違う
ここでは、ANAが公表している国内線向けB767-300と、国際線向けB767-300ERを例にします。シリーズ全部の共通スペックではなく、使い方に合わせた2つの仕様例です。
| 項目 | ANA 国内線767-300 | ANA 国際線767-300ER |
|---|---|---|
| 全長 | 54.9m | 54.9m |
| 全幅 | 47.6m | 50.9m(ウイングレット付き) |
| 全高 | 15.9m | 15.9m |
| 座席数 | 270席 | 202席 |
| 巡航速度 | 時速880km | 時速870km |
| 航続距離 | 3,370km | 10,820km |
| エンジン | 2基 | 2基 |
全長54.9mは、50mプールより少し長いくらい。空港で眺めているときも、数字を知ると大きさを想像しやすくなります。
国際線の例で席数が少ないのは、主に座席の配置やクラス構成が違うためです。「ER型は席が少ない」と決まっているわけではありません。全幅の違いも、この国際線仕様がウイングレットを付けているためで、すべての-300ERが50.9mではありません。
航続距離は、燃料だけでなく、機体の仕様、運ぶ重さ、風などにも左右されます。表の距離を、どんな便でも必ず飛べるという意味では受け取らないでください。同じ長さの飛行機でも、得意な旅の距離は違う。 そこがおもしろいところです。
B767の歴史は、海の向こうを近づけた歴史
1980年代、日本の空にもやってきた
B767の計画が始まったのは1978年。1981年9月26日に初飛行し、1982年9月8日に営業運航を始めました。最初に使ったのは、アメリカのユナイテッド航空です。
日本では、ANAのB767-200が1983年6月21日、東京―松山線と大阪―松山線で運航を開始。JALも1985年にB767を導入し、翌1986年には胴体を延ばした-300が加わりました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1978年 | B767の計画が始まる |
| 1981年 | 9月26日、初飛行 |
| 1982年 | 9月8日、ユナイテッド航空で営業運航開始 |
| 1983年 | ANAの-200が日本の国内線に就航 |
| 1985年 | JALがB767を導入。767は120分ETOPSの認可も取得 |
| 1986年 | 胴体を延ばした-300をJALに初納入 |
| 1995年 | 貨物型-300FがUPSで就航 |
| 1999年 | ファミリーで最も長い-400ERが初飛行 |
エンジンが2つでも、大西洋を越える主役に
B767の歴史で外せないのが、エンジンが2つの飛行機で、海を越える路線を広げたことです。
鍵になったのが「ETOPS(イートップス)」という仕組み。簡単にいえば、エンジンが1つ止まった場合なども考え、着陸できる空港から離れた経路を飛ぶための基準です。機体だけでなく、整備や運航の体制も関わります。
1985年、767は120分ETOPSの認可を得ました。これは「エンジン1つで、どんな条件でも120分飛べる」という意味ではなく、決められた条件で代わりの着陸空港までの時間を考えて、経路を設定するためのものです。
こうした仕組みと機体の信頼性の積み重ねにより、B767は北大西洋を結ぶ路線で広く使われるようになりました。もっと大きな飛行機では座席が多すぎる区間にも、直行便を設定しやすくなる。B767の「ちょうどよさ」が、海を越える旅でも生きたのです。



乗ってから好きになる「2・3・2」の座席


B767の楽しみは、外から見る姿だけではありません。機内に入ったら、座席の並びに注目してみてください。エコノミークラスでは、窓側2席・中央3席・窓側2席の「2・3・2」が代表的です。
窓側が2席ずつなので、2人旅なら隣同士でひと組に座れるのがうれしいところ。中央の3席でも、真ん中から通路へ出るとき、間にいる人は左右どちらも1人です。
もちろん、すべての列が同じではなく、ビジネスクラスなどでは配列も変わります。予約画面で座席表を開き、「どこに座ろうかな」と考える時間も、B767を好きになる入口になります。
荷物を運ぶB767にも、目を向けてみよう
旅客便を見送ったあと、窓の少ないB767が見えるかもしれません。貨物機の仲間です。大きな胴体の中には、座席の代わりに荷物を積む空間が広がっています。
ボーイングが公表する767貨物機の積載量は約52.5トン。旅客機としての思い出をつくる一方で、荷物を届ける仕事でも空を支えています。
名前を覚えると、同じ空港でも見える仕事が増える。そんな楽しさをくれる飛行機です。
次の空港では、B767を1機探してみよう
最初から、すべてのシリーズを見分けなくても大丈夫です。
まずはエンジンが左右に1つずつある機体を眺めて、B787と迷ったらカバーの後ろの縁を探す。翼の先も見て、座席表や機体の番号で答え合わせをする。そんな小さな発見を、ひとつずつ集めてみましょう。
B767は、日本の街をつなぎ、大西洋を越える旅を広げ、人も荷物も運んできました。その姿に気づいたら、「あの飛行機は今日、どこへ行くのかな」と思ってみてください。
ただの白い飛行機が、誰かの旅を運ぶ一機に見えてくるかもしれません。



オチュンとおさらい B767クイズ
第1問 B767の客室にある通路は、基本的に何本?
A:1本 B:2本 C:3本
答えと解説を見る
答え:B、2本。 B767は通路が2本ある双通路機です。エコノミークラスの代表的な並びは「2・3・2」です。
第2問 -300ERの「ER」は、何を表す?
A:胴体が長い B:エンジンが多い C:航続距離を延ばした型
答えと解説を見る
答え:C、航続距離を延ばした型。 -300と-300ERの全長は、どちらも約54.9m。ERだけで胴体が長くなるわけではありません。
第3問 B767とB787で迷ったら、エンジンの後ろがギザギザなのは?
A:B767 B:B787 C:どちらも必ず同じ
答えと解説を見る
答え:B、B787。 この2機種を比べるときの大きなヒントです。遠くて見えないときは、ほかの特徴や航空会社の機材情報も確認しましょう。
第4問 最も胴体が長いB767の旅客型は?
A:-200 B:-300ER C:-400ER
答えと解説を見る
答え:C、-400ER。 全長は約61.4m。-200系、-300系、-400ERという3つの長さで覚えると、ファミリーの違いをつかみやすくなります。
参考資料と画像について
出典は以下にまとめています。いずれもメーカー・航空会社・航空当局の資料です。寸法は比較しやすい桁に丸めています。座席数や航続距離は仕様例として読み、実際に乗る便の機材・座席表は航空会社で確認してください。
- ANA 国内線767-300の座席表とスペック
- ANA 国際線767-300ERの座席表とスペック
- ANA 歴代の機材と諸元
- ICAO 機体寸法比較表
- FAA 航空史年表(PDF 220ページ)
- ボーイング 767-400ERの設計・延長量・翼端
- ボーイング 767の開発・ETOPS・北大西洋での歴史
- ANA 1980年代の年表
- JAL 1980年代の年表
- ボーイング 767貨物機
- ボーイング 767ファミリーの概要・座席数の目安
- ANA B787のシェブロン解説
- JAL ウイングレットの改修と環境への取り組み
- ボーイング 旅客機から貨物機への改造
- ボーイング 737NGの寸法
- JAL 787の寸法と特徴
- ボーイング 777の寸法
- JAL 767-300の取得記録
- ボーイング UPSの767貨物機就航年
- ボーイング 767-400ERの初飛行年
表紙・エンジン比較・シリーズ比較・座席配列はAIで制作したイラストです。実機写真や設計図ではありません。オチュンは提供されたキャラクター画像を参考にしています。本文・数値の確認日:2026年11月3日。









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