霧は「地面に接した雲」ともいわれるほど、身近な自然現象の一つです。今回は、「もやとの違い」と、代表的な5種類の霧(放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧・上昇霧)についてわかりやすく解説していきます。
霧とモヤの違い

霧と「もや」は、どちらも空気中の小さな水滴が光を散乱して景色が白くぼやけた状態ですが、見えている距離(視程)で区別されます。
霧:水平方向の見通し距離が 1 km未満の状態。道がほとんど見えないほど濃いことが多いです。
もや:見通し距離が 1 km以上10 km未満。遠くはぼんやりするが、ある程度は景色が見えます。
つまり、「どれだけ見えるか」がカギです。
霧よりさらに視程が悪い時を「濃霧」といいます。
濃霧:視程が陸上でおよそ100m、海上で500m以下の霧。
視程が悪い順では、【 濃霧>霧>もや 】となります。
霧の基本的なでき方
霧は、空気中の水蒸気が飽和(水蒸気を含みきれない)と、その水蒸気が小さな水滴となって空に浮かぶことでできます。
このとき、温度が下がったり、水蒸気が増えたりすることで、水滴が増えて霧になります。ここから、発生の仕組み別の「5つの霧」に分けられます。
1.放射霧(ほうしゃぎり)

放射霧は、晴れて風が弱い夜から朝にかけて、地面が冷えて空気も冷やされるときに発生しやすいです。
地面が空気から熱を奪い、その結果気温が下がると、水蒸気が水滴へ変わる
ふだん盆地や低地に多く見られる
朝日とともに地面が暖まりだすと、おおむね数時間以内に消える
例:盆地の朝に街が白い霧に包まれる光景は、大半がこの「放射霧」です。
2.移流霧(いりゅうぎり)

移流霧は、「空気の塊が冷たい場所に流れてくることで」できる霧です。特に海や湖によく見られます。
温かい湿った空気が、冷たい海や湖の上を流れる
下層の空気が冷やされ、水蒸気が水滴になる
黒潮の暖かい海から冷たい親潮の海に南風で湿った空気が流れて発生する「海霧」なども、このタイプです。
霧としては範囲が広く、時間が長く続くことも多いです。
3.蒸気霧(じょうきぎり)

蒸気霧は、「表面が温かい場所に、冷たい空気が流れてきたとき」に発生する霧です。
たとえば、冬の海や湖面が空気より温かい場合
冷たい空気がその上を通過し、海や湖から上がる水蒸気が冷やされて水滴に
けむりが立ち上るような細かい霧として見え、気仙沼の「けあらし」などは有名
名前のとおり、「蒸気(もや)」が白く見える現象ともつながります。
4.前線霧(ぜんせんぎり)

前線霧は、天気の前線(とくに温暖前線)の前後に発生しやすいタイプです。
前線で降った雨が、冷たい空気の層で蒸発して水蒸気になる
その水蒸気がさらに冷やされて水滴に変わって霧になる
前線の通過後、雨で湿った地表の上に放射霧が重なって発生する場合もあり、「前線後に霧が続く」例はこのタイプです。
交通機関への影響が大きくなる局面でよく見られます。
5.上昇霧(じょうしょうぎり)=滑昇霧
上昇霧(滑昇霧)は、空気の塊が斜面や山を登るときに発生する霧です。
風が山や丘の斜面を上に押し上げられると、空気は膨張して冷える
冷えた空気中の水蒸気が水滴に変わり、斜面や山中に霧として広がる
高い山や山間部では、山の斜面に白い帯状の霧が見えることがあります。
視界が悪くなるだけでなく、山の天気を急変させる要因にもなります。
まとめポイント
霧 vs もや:1 km未満が「霧」、1 km以上10 km未満が「もや」。濃さと見え方が違いのカギ。
5種類の霧:
【放射霧】……晴れて風弱い夜~朝の冷え込み(盆地向け)
【移流霧】……温かい湿った空気の塊が冷たい場所へ「流れる」
【蒸気霧】……冷たい空気が温かい海・湖の上を流れる
【前線霧】……前線雨からの蒸発とその冷やし
【上昇霧(滑昇霧)】……空気が山や斜面を上るときに発生

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