宮沢賢治の『よだかの星』に登場するよだかは、ほかの鳥から見た目をからかわれ、名前を変えるよう迫られます。物語の最後、よだかは星を目指して夜空へ飛び立ちます。
では、実際のヨタカはどんな鳥なのでしょう? まずは基本情報を見てから、夜の森で暮らすヨタカのひみつをたどってみましょう。
ヨタカの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | ヨタカ目・ヨタカ科 |
| 大きさ | 全長約29センチ |
| 日本での渡り | 夏鳥 |
| 主な活動時間 | 夜 |
| 主な食べ物 | ガやコガネムシなどの昆虫 |
| 鳥の特徴 | 巣を作らず、地面に卵を産む |
| 日本での保全状況 | 準絶滅危惧(NT) |
環境省の資料では、ヨタカの学名は Caprimulgus jotaka jotaka とされています。古い資料には別の学名が使われていることもあります。鳥の分類は研究によって見直されるので、検定では出題資料の表記も確認しましょう。[環境省](https://ikilog.biodic.go.jp/rl_rdb/a/890.html)
「タカ」と名前についているけれど……
ヨタカは、タカの仲間ではありません。分類はヨタカ目・ヨタカ科です。タカのような鋭い爪でうさぎなどをつかむ鳥ではなく、夜に飛びながら昆虫を食べます。
名前の由来には諸説ありますが、夜に活動し、鋭い声で鳴くことなどから「ヨタカ」と呼ばれるようになったと考えられています。『よだかの星』の物語の中で、よだかが鷹に「名前を変えろ」と責められる場面が、また違った角度で読めそうです。
木の皮にそっくり? 昼間のヨタカ
ヨタカの羽は黒っぽい茶色や灰色で、黄褐色や茶色の細かな模様があります。木の皮や落ち葉にまぎれる保護色です。昼間、地面や枝にじっとしていると、見つけるのはなかなか大変です。
枝に止まるときには、枝に沿って水平に止まることもあります。体の模様だけでなく、止まり方にも、目立たずに過ごす工夫があるのですね。
夜空を飛びながら、虫をパクリ!
ヨタカは夜行性です。日が暮れると活動を始め、飛びながら大きく口を開けて、ガやコガネムシなどの昆虫を捕まえます。大きな口は、空中を飛ぶ虫をとらえるのに役立ちます。
繁殖期のオスは、夜に「キョキョキョ」とよく響く声で鳴き、なわばりを知らせます。暗い森で鳴き声が聞こえても、姿を見つけるのは簡単ではありません。声が、ヨタカを見つける手がかりになります。[環境省](https://ikilog.biodic.go.jp/rl_rdb/a/890.html)
巣を作らず、地面に卵を産む
鳥は木の上や枝に巣を作るもの、と思っていませんか? ヨタカは、巣らしい巣を作らず、地面に卵を産みます。卵は主に2個。親鳥も卵も周囲にまぎれやすいため、見つけるのは難しいそうです。
ヨタカが繁殖するのは、林の中や林のはし、草原、伐採跡地など。木がぎっしり生えた場所だけでなく、地面が見える開けた場所も大切な環境です。[環境省](https://ikilog.biodic.go.jp/rl_rdb/a/890.html)
日本には夏にやってくる渡り鳥
ヨタカは、日本では夏鳥です。4〜5月ごろに渡ってきて、九州から北海道にかけて繁殖します。冬はインドシナ半島やマレーシア半島、ボルネオなどで過ごすと考えられています。
環境省の資料では、日本のヨタカは**準絶滅危惧(NT)**に分類されています。全国調査では、繁殖の可能性が記録された地域が1990年代より2010年代に増えた一方、1970年代の記録数には戻っていません。地域によっては減少も続いています。夜行性で調査が難しいこともあり、まだ分かっていないことが多い鳥です。[環境省](https://ikilog.biodic.go.jp/rl_rdb/a/890.html)
物語と本物のヨタカ
『よだかの星』は、名前や見た目で立ち位置を決めつけられる苦しさ、そして自分の居場所を探すよだかの姿を描いた物語です。
実際のヨタカは、夜に虫を捕まえ、地面に卵を産み、羽の模様で身を隠して暮らしています。物語のように星まで飛んでいくわけではありませんが、夜の空を飛ぶ姿を想像すると、作品の世界が少し身近に感じられるかもしれません。[青空文庫『よだかの星』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/473_42318.html)
おまけ:ヨタカ検定クイズ
第1問 ヨタカは何科?
A. タカ科 B. ヨタカ科 C. フクロウ科
第2問 ヨタカは主にいつ活動する?
A. 昼 B. 夜 C. 真夜中だけ
第3問 ヨタカはどこに卵を産む?
A. 木の上の巣 B. 水に浮かぶ巣 C. 巣を作らず地面
答え:1-B、2-B、3-C
覚えるなら、「夜に飛ぶ・大きな口・地面に卵」。『よだかの星』を読み返したとき、物語のよだかと本物のヨタカ、それぞれの姿を思い浮かべて読んでみてください。
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