オチュンと学ぶ貿易風 偏西風 極偏東風のしくみ

地球をめぐる3つの風。貿易風・偏西風・極偏東風を表す色の帯と、指し示すオチュンのイラスト

天気予報で耳にする「偏西風」。実は、地球をぐるりと取り巻く風には、ほかにも「貿易風」と「極偏東風」があります。

名前だけを見ると難しそうですが、最初に押さえるのは、どのあたりを、どちらへ吹く風なのか。地球全体の風の地図を、オチュンと一緒に見ていきましょう。

目次

地球の風を三つの帯で見てみよう

赤道から北極へ、または赤道から南極へ向かうと、地表付近の平均的な風は、貿易風 → 偏西風 → 極偏東風の順に並びます。

北半球と南半球の貿易風、偏西風、極偏東風の位置と向きを示す図
図1 地球上の地表付近の風を、緯度ごとの帯で示した模式図。黒い指示線の丸印は、それぞれの風の矢印を指しています。大きな色付き矢印の先が、空気の進む方向です。大陸の形や緯度の境目は簡略化しています。
風の名前 吹く場所の目安 東西方向の流れ
貿易風(ぼうえきふう) 赤道〜緯度30度付近 東から西へ
偏西風(へんせいふう) 緯度30〜60度付近 西から東へ
極偏東風(きょくへんとうふう) 緯度60度付近〜極 東から西へ

表の緯度は、北半球にも南半球にも当てはまる大まかな目安です。風の帯の位置や強さは季節や地域で変わり、30度や60度に固定の境界線があるわけではありません。

こうした、長い期間で見ると一定の向きに吹きやすい風を恒常風(こうじょうふう)といいます。毎日、どの場所でも同じ風が吹くという意味ではありません。

風の名前は吹いてくる方角で読む

ここで、名前の読み方を一つだけ覚えておきましょう。風向は、風が吹いてくる方角で表します。

たとえば「西風」は、西から東へ吹く風。「北東の風」なら、北東から南西へ吹く風です。偏西風の「西」も、この読み方と同じ。西へ進む風ではなく、西からやってくる風です。

🐤 オチュン「名前は出発する側、矢印の先は進んでいく側、と考えると分かりやすいね!」

なぜ地球には大きな風の流れがあるのか

出発点は赤道と極の温まり方の違い

赤道付近は、極付近に比べて太陽から多くのエネルギーを受け取ります。この温まり方の違いをもとに、空気が上昇したり下降したり、南北へ移動したりする大きな流れが生まれます。地球規模の空気の巡りを、大気大循環(たいきだいじゅんかん)といいます。

まずは赤道周辺だけを見てみましょう。赤道付近では、暖かく湿った空気が上昇しやすくなっています。上空へ上がった空気は南北へ広がり、その一部が緯度30度付近で下降します。地表付近では、そこから赤道側へ戻る流れができます。この循環がハドレー循環です。

ハドレー循環と、地球の自転による空気の進路の曲がりを説明する図
図2 左は北半球の熱帯付近を横から見た図で、左右は赤道側と北緯30度側を表します。右は、自転による進路の曲がり方です。

地球の自転が空気の進路を曲げる

空気は、赤道や極へ向かって一直線に進むわけではありません。地球が自転しているため、地上から見ると、動く空気の進路が曲げられます。この効果を表すのがコリオリの力です。

曲がる向きは、北半球では空気の進む向きに対して右、南半球では左です。「北半球では必ず東へ曲がる」という意味ではなく、空気がどちらへ進んでいるかによって、地図上での曲がる方角が変わります。

では、この仕組みが三つの風にどうつながるのでしょうか。

貿易風は赤道へ向かう東よりの風

貿易風は、亜熱帯の高気圧の帯から、赤道付近へ向かって吹く地表付近の風です。赤道へ向かう空気が自転の影響で曲げられ、北半球では北東から南西へ、南半球では南東から北西へ吹きます。どちらも東から西へ進む成分を持つため、東よりの風です。

北半球では「北東貿易風」、南半球では「南東貿易風」と呼び分けます。図1の赤道の上下で、矢印がどちらも赤道側へ向かいながら、西へ進んでいることを確かめてみてください。

「貿易」という名前から、帆船を思い浮かべる人もいるでしょう。実際に、この風は海を渡る帆船の航海を助けてきました。ヨーロッパやアフリカからアメリカ大陸へ向かう航海などに利用されました。

🐤 オチュン「赤道をはさんで、北東からと南東から。どちらも東よりの風なんだね!」

偏西風は中緯度を西から東へ流れる風

貿易風の帯より極側には、西から東へ吹く偏西風の帯があります。地表付近の平均的な流れとしては、亜熱帯側から極側へ向かう空気が自転の影響を受け、北半球では南西より、南半球では北西よりの風になります。

偏西風は上空にも広がっており、日本の天気を考えるときは、特に上空の西から東への流れが大切です。その中の、狭い範囲に集中した非常に強い流れをジェット気流と呼びます。偏西風全体が、すべてジェット気流というわけではありません。

日本の天気が西から変わるのも偏西風と関係する

「西の地域で雨が降り始め、やがて東の地域へ雨が移ってくる」。日本では、こんな天気の変化をよく経験します。低気圧や移動性高気圧が上空の偏西風の影響を受け、西から東へ進むことが多いためです。

上空の偏西風と低気圧の東進、地面近くの風の違いを説明する図
図3 日本付近の上空の流れと、地面近くの風を分けた模式図。二つの「低」は、低気圧の移動を説明するためのイメージです。

一方、地面近くで感じる風は、その日の高気圧・低気圧の配置や、山・海岸などの地形にも左右されます。日本が偏西風の影響を受ける地域にあっても、毎日西風ばかりが吹くわけではありません。

極偏東風は極側から吹き出す東よりの風

さらに極側へ進むと、極偏東風の帯に入ります。平均的な大気循環の図では、極付近で冷えた空気が下降し、地表付近を緯度60度付近の低圧帯へ向かって流れ出します。

この流れも自転の影響で曲げられ、北半球では北東より、南半球では南東よりの風になります。貿易風と同じく、東から西へ進む成分を持つ風です。

貿易風との違いは、吹く場所と、空気が向かう先。貿易風は亜熱帯から赤道側へ、極偏東風は極側から緯度60度付近へ向かいます。どちらも東よりの風ですが、地球の別々の場所を流れています。

三つの風は地球全体の空気の巡りの一部

ここまでの風は、地表付近だけで完結するものではありません。上空の流れや空気の上昇・下降とつながっています。赤道から極へ向かって、平均的にはハドレー循環・フェレル循環・極循環という三つの循環に整理できます。

実際の空気の流れには、季節の変化や大陸・海の分布などの影響も重なります。図の帯や循環は、複雑な空気の動きから、大きな傾向を取り出したものと捉えましょう。

オチュンと三問でおさらい

第1問 偏西風は、西へ向かって吹く風でしょうか。

答えを見る

答えは、いいえ。西から東へ吹く風です。風の名前は、吹いてくる方角で読みます。

第2問 貿易風と極偏東風に共通する、東西方向の流れは何でしょう。

答えを見る

答えは、東から西へ。吹く緯度の帯は違いますが、どちらも東よりの風です。

第3問 日本で南風が吹く日は、偏西風がなくなったのでしょうか。

答えを見る

答えは、そうとは限りません。上空の大きな流れと、地面近くで感じる風を分けて考えます。

🐤 オチュン「赤道から極へ、貿易風・偏西風・極偏東風。東西の向きは、東から・西から・東から、だね!」

次に天気予報で「偏西風」という言葉を聞いたら、日本の空の上から、地球を取り巻く大きな風の帯へと思いを広げてみてください。いつもの雨雲の動きも、地球全体の空気の巡りとつながっています。

出典と参考資料

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この記事を書いた人

図書館でブログを書くとある会社の社長。

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