天気図を見ていると、低気圧や前線のまわりに、南から細長く空気が流れこんでくるようすが見えることがあります。その流れの中には、海からたっぷり水蒸気をふくんだ、しめった空気がかくれています。そんな「湿舌」をモチーフにしたソラモンが、今回紹介する『シメリン』です。
シメリンは、天気図の上をすべるように進む、しつぜつソラモンです。体はナメクジやウミウシのようにやわらかく、ふわふわした雲のひだをまとっています。色は赤やピンクを中心にしたあたたかい色合いで、南の海からやってくる湿った空気のぬくもりを感じさせます。つるんとした体には雨粒のような模様があり、動くたびに小さなしずくがぽろぽろとこぼれます。
湿舌のソラモン『シメリン』登場!

湿舌とは、南の海上などから細長くのびる、しめった空気の流れのことです。「舌」という字が入っているのは、天気図や水蒸気画像などで見ると、湿った空気がぬるっと舌のようにのびているように見えるからです。シメリンの長い体は、まさにこの形を表しています。
シメリンは、ふだんは海の上でのんびりしています。けれど、低気圧や前線が近づくと、南からするすると天気図の上にあらわれます。前線の近くをすべりながら、しめった空気をながくのばし、雲のもとを運んでいきます。本人はおだやかな顔をしていますが、シメリンが元気に動くと、空では雲がもくもく育ちはじめます。
とくぎは「しめりながし」
シメリンのとくぎは「しめりながし」です。これは、体のうしろから赤い湿り気の帯をのばし、空に水蒸気を送りこむ技です。しめった空気がたくさん流れこむと、雲は大きくなりやすくなります。そこに上昇気流が加わると、雲はさらに発達し、雨を降らせることがあります。
とくに前線や低気圧の近くでは、空気が集まりやすく、上に持ち上げられやすくなります。そこへシメリンが運んできたしめった空気が入ると、雨雲がどんどん育っていきます。だからシメリンは「雨雲をそだてるソラモン」とも呼ばれています。
ただし、シメリンは雨を降らせて困らせようとしているわけではありません。南の海で集めた水蒸気を、ただ一生懸命に運んでいるだけです。のんびりした顔で天気図の上をすべる姿はかわいいですが、時には大雨のもとになることもあるので、油断はできません。
天気図でシメリンを探すなら
シメリンを探すなら、天気図の低気圧や前線の近くに注目します。南の海から日本付近へ向かって、空気が流れこんでいそうな場所があれば、そこにシメリンがいるかもしれません。特に、梅雨前線や秋雨前線の近くでは、シメリンが長い体をのばしていることがあります。
見た目だけでなく、空気の流れを考えることも大切です。低気圧の東側や前線の南側では、南から暖かく湿った空気が入りやすくなります。シメリンはそうした場所を好みます。天気図の等圧線の向きや、低気圧の位置を見ながら、「どこから湿った空気が入ってくるかな?」と考えると、シメリンの通り道が見えてきます。
かわいいけれど大雨のサイン
シメリンは、赤くてやわらかい体をしたかわいいソラモンです。けれど、シメリンが大きくのびているときは、空にたくさんの水蒸気が運ばれているサインでもあります。水蒸気は雨雲の材料です。材料がたくさんある場所では、雨雲が発達しやすくなります。
もし天気図の上で、シメリンが低気圧や前線に向かって長くのびていたら、雨の降り方に注意が必要です。長い時間同じ場所に湿った空気が流れこむと、雨雲が次々に発生し、大雨になることがあります。シメリンの動きは、空の中にどれくらい湿り気が集まっているかを教えてくれる、大切なヒントなのです。
シメリンが教えてくれること
シメリンは、天気図の上をすべる湿り気ソラモンです。赤い体で南からのびる湿った空気を表し、雨雲の材料を運んでくれます。かわいらしい姿をしていますが、その正体は天気を大きく変えることもある湿舌です。
天気を読むときは、低気圧や前線だけを見るのではなく、そこへどこから空気が流れこんでいるのかも大切です。南からしめった空気が細長く入ってくると、雲は育ちやすくなり、雨が強まることがあります。
シメリンを思い浮かべると、湿舌のしくみが少し身近に感じられます。天気図の上で、ぬるりとすべる赤いソラモン。シメリンは今日も、南の海からしめった空気をはこんで、空に雨雲をそだてているのです。

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