技術をつないだYS-11の精霊ソラモン『ワイエス』

日本の空には、たくさんの飛行機が飛んできました。大きなジェット機、外国からやってきた旅客機、島と島を結ぶ小さな飛行機。その中でも、特別な存在として語られる飛行機があります。それが、国産旅客機 YS-11 です。

YS-11は、日本で生まれた旅客機です。戦後の日本が、もう一度自分たちの力で空を目指そうとした時代に、多くの技術者たちの手によってつくられました。人を乗せて、安全に、まっすぐ目的地まで運ぶ。そのために、機体の形、プロペラ、操縦のしやすさ、整備のしやすさなど、たくさんの工夫がこめられました。

そんなYS-11に宿るソラモンが、今回紹介する ワイエス です。

目次

YS-11の精霊ソラモン『ワイエス』

ワイエスは、YS-11に宿る精霊ソラモンです。姿は、白くやわらかなトキのこどものよう。大きな瞳と、すらりとのびたくちばしを持ち、朝焼けの湿原に静かに立っています。羽の先はほんのり赤く染まり、しっぽの羽は朝日のようにあたたかな色をしています。

タイプは ほのお / ひこう
ただし、激しく燃え上がるような炎ではありません。ワイエスの炎は、人を急がせる炎ではなく、冷えた朝の空気をそっとあたためるような、やさしい炎です。

ワイエスは、YS-11が空を飛んでいたころの記憶を大切にしています。乗客を運んだ日のこと、整備士さんが機体を点検していた朝のこと、プロペラの音が空港に響いていた夕方のこと。そうした空の記憶を、ワイエスは羽の中にしまっています。

技術をつなぐということ

ワイエスの大きなテーマは、技術をつなぐことです。

飛行機は、ひとりの力だけでは飛びません。設計する人、部品をつくる人、整備する人、操縦する人、空港で支える人。たくさんの人の知恵と手がつながって、ようやく空へ向かうことができます。

YS-11も同じです。そこには、「日本の技術で旅客機をつくりたい」という思いがありました。その思いは、機体そのものだけでなく、そこに関わった人たちの経験や技術として、次の世代へ受けつがれていきました。

ワイエスは、その“つながり”から生まれたソラモンです。だからワイエスは、新しいものを否定しません。むしろ、新しい飛行機を見つめながら、「昔の技術があったから、今の空があるんだよ」と静かに教えてくれます。

ワイエスの性格

ワイエスは、おだやかでまじめな性格です。派手に飛び回るよりも、湿原のそばで朝日を浴びながら、空を見上げている時間が好きです。

少しのんびりしているところもありますが、空の安全に関することになると、とても真剣になります。小さな異変にもよく気づき、風の流れや雲の動きをじっと見ています。

仲間があわてていると、ワイエスは羽をふわりと広げて、あたたかい風を送ります。その風に包まれると、不思議と心が落ち着いて、「もう一度、ていねいにやってみよう」と思えるのです。

とくいわざ「あさやけフレイム」

ワイエスのとくいわざは、あさやけフレイム

しっぽの羽をゆらすと、朝焼け色のあたたかい風がふわっと広がります。この風は、相手を攻撃するためのものではありません。冷えた空気をやわらげたり、不安な気持ちを落ち着かせたり、旅立つ仲間をそっと後押ししたりするための技です。

飛行場の朝、まだ空気が冷たい時間。ワイエスがあさやけフレイムを使うと、滑走路のまわりが少しだけ明るくなります。まるで「今日も安全に飛べますように」と願っているようです。

ワイエスがいる場所

ワイエスは、湿原、田んぼ、川べり、そして古い空港の近くに現れるといわれています。特に、朝焼けの時間が大好きです。

水辺に立って朝日を浴びると、ワイエスの羽の先は少しだけ強く輝きます。その光は、YS-11の機体に反射する夕日や朝日のようでもあります。

ワイエスは、飛行機が好きな人だけに見えるわけではありません。空を見上げる人、旅立つ人を見送る人、古いものに込められた思いを大切にする人。そういう人のそばに、そっと現れるソラモンです。

古いものは、終わったものではない

YS-11は、今の最新旅客機とは違います。大きさも、速さも、設備も、現代の飛行機とは比べものにならないかもしれません。

でも、古いものには古いものの役割があります。それは、今へ続く道をつくったということです。

ワイエスは、そのことを教えてくれます。
「昔の飛行機だからすごい」のではなく、
「昔の挑戦が、今の技術につながっている」から大切なのです。

プロペラの音、整備の記録、技術者たちの工夫、乗客を運んだ日々。そのすべてが、空の歴史の一部です。ワイエスは、それらを忘れないように、朝焼けの中で静かに見守っています。

ワイエスは技術の記憶を守るソラモン

ワイエスは、強くて派手なソラモンではありません。けれど、とても大切な役目を持っています。

それは、技術の記憶を守ること。
そして、その記憶を次の空へつなぐことです。

YS-11に宿ったワイエスは、今日もどこかの空港のそばで、朝日を浴びています。静かな水辺に立ち、遠くの空を見つめながら、かつて空を飛んだ機体のことを思い出しています。

そして、新しい飛行機が空へ向かうとき、ワイエスは小さく羽をゆらします。

「いってらっしゃい。空は、ずっとつながっているよ」

そう言うように、朝焼け色の風をそっと送り出すのです。

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この記事を書いた人

図書館で勝手に仕事をしている小さな会社のドケチ社長。口癖は「コーヒーの一滴は血の一滴」

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