オチュンの鳥の観察ノート
顔・鳴き声・大きさを、
手書き風イラストで見比べよう
よく似た茶色い小鳥も、見る場所がわかると違いが見えてきます。15cm定規を思い浮かべながら、オチュンと一緒に観察のコツをつかみましょう。

初夏の川辺で、「ギョギョシ、ギョギョシ!」と元気な声。草の上を探すと、茶色い小鳥が口を開けて鳴いています。
図鑑で似た姿のオオヨシキリとコヨシキリを見つけて、「どちらだろう?」と迷ったことはありませんか。
まず覚えたいのは、コヨシキリには、白い眉模様のすぐ上に目立つ黒い線があること。そこに、大きさと鳴き声を組み合わせて考えると、見分けやすくなります。
参考:コヨシキリの顔と大きさ / 2種の見た目とさえずり
まずは、違いをひと目でチェック
遠くで動く鳥のすべてを、一度に見るのは難しいもの。最初は、次の4つに注目してみましょう。
| 見る・聞くところ | オオヨシキリ | コヨシキリ |
|---|---|---|
| 大きさ くちばしから尾まで | 約18〜18.5cm | 約13.5〜14cm |
| 顔の模様 | 淡い眉模様がある。 その上に、目立つ黒い線はない | 白い眉模様がはっきり。 そのすぐ上に黒い線がある |
| 口の中の色 さえずる成鳥の目安 | 赤〜橙赤色 | 黄色 |
| 繁殖期のさえずり | 太く、濁った響き。 「ギョギョシ、ギョギョシ」 | 高く、細やかで複雑。 「ジッピリリ…」など |
参考:オオヨシキリの全長と声 / コヨシキリの全長・顔・声 / 顔模様・声・黄色い口内 / オオヨシキリの赤い口内
漢字の名前と由来も知っておこう
- オオヨシキリ=大葦切(おおよしきり)
「大葭切」という書き方もあります。 - コヨシキリ=小葦切(こよしきり)
「小葭切」という書き方もあります。
「葦」や「葭」は、水辺に生えるヨシを表す字です。名前の「大」「小」は、2種の体の大きさの違いにちなんでいます。漢字にすると、ヨシ原で暮らす鳥の姿と大きさが、名前からもイメージできますね。
参考:2種の漢字表記と「大」「小」の意味(日本野鳥の会 埼玉・PDF)
「ヨシキリ」の語源については、ヨシを切り裂いて中にいる虫を食べることにちなむという説が紹介されています。「葦」と「切」を組み合わせた名前、と考えると覚えやすくなります。
オオヨシキリには、行々子(ぎょうぎょうし)という別名もあります。「ギョギョシ、ギョギョシ」というにぎやかな鳴き声にちなむ呼び名で、行行子と書くこともあります。俳句では夏の季語としても使われます。
大きさは、15cm定規で考えるとわかりやすい
「全長18cm」といわれても、鳥の姿はすぐには浮かびませんよね。ここでは、文房具の15cm定規を頭の中に置いてみましょう。
オオヨシキリは、定規から3cmほどはみ出す長さ
オオヨシキリの全長は約18〜18.5cm。18cmを目安にすると、15cm定規に約3cm足した長さです。名前に「オオ」と付いていても、とても大きな鳥というわけではありません。スズメより一回り大きい小鳥です。
コヨシキリは、定規に少し足りない長さ
コヨシキリの全長は約13.5〜14cm。13.5cmを目安にすると、15cm定規より約1.5cm短い長さです。2種の差は4〜5cmほど。「大」と「小」でも、長さが倍ほど違うわけではありません。

長さだけを、同じ比率で並べると
棒の長さは同じ比率です。画面上の長さは実寸ではありません。
実際の野外では、遠くの鳥は小さく、近くの鳥は大きく見えます。羽をふくらませるかどうかや、体の向きでも印象が変わるため、大きさだけで種類を決めないことが大切です。
参考:オオヨシキリ約18cm / オオヨシキリ約18.5cm / コヨシキリ約13.5cm / コヨシキリ13.5〜14cm / スズメとの比較
顔の違いは「白い眉の上」を見る
2種とも、背中が茶色っぽく、お腹が白っぽい鳥です。「茶色の濃さ」を比べるより、目の上の模様を探すほうが、見分ける手がかりになります。

コヨシキリは、白い眉模様の上に黒い縁取り
目の上を横に走る白っぽい模様を、眉斑(びはん)といいます。人間の眉毛のように見えますが、羽の模様です。
コヨシキリは、この白い眉斑がはっきりしていて、その上側を黒っぽい線が縁取っています。この上の黒い線が、頭側線(とうそくせん)です。「白い眉+その上の黒い線」をセットで覚えると、見る場所が定まります。
オオヨシキリにも、眉模様はある
オオヨシキリにも、淡い色の眉斑があります。ただし、コヨシキリのように眉斑の上をくっきり縁取る黒い頭側線はありません。眉模様そのものが、あまり目立たない個体もいます。
逆光や草の陰では、黒い線が見えにくいこともあります。「見えなかったから、きっとオオヨシキリ」と急いで決めず、明るい角度で見えるのを待ちましょう。
声は、太い「ギョギョシ」と高く細やかな歌
草むらに隠れた鳥は、姿より先に声に気づくことがあります。特に繁殖期のオスのさえずりは、2種を比べる大きな手がかりです。
イメージとしては、オオヨシキリは太い声でぐいぐい歌う感じ、コヨシキリは高い音を細かくつなぐ感じです。まずは細かい音の並びより、声の太さや高さに耳を向けてみてください。
鳴き声のカタカナ表記は、人の耳で言葉に置き換えた目安です。いつも同じフレーズで鳴くわけではありません。また、遠い鳥の声は小さく聞こえるので、音量だけでは決められません。
ここで比べているのは、主に繁殖期のさえずりです。普段の短い声まで、すべて「ギョギョシ」や「ジッピリリ」になるわけではありません。
参考:オオヨシキリのさえずり / コヨシキリのさえずり / 声の比較とものまね / さえずりと普段の声
見つかるのは、どんな季節・どんな場所?
2種とも、日本では主に繁殖のためにやって来る夏鳥です。春から夏は、草の上に出てさえずる姿を探す機会があります。渡って来る時期や、見られる期間には地域差があります。
オオヨシキリは、水辺のヨシ原を探してみよう
川や湖、池の周りなどのヨシ原が主なすみかです。ヨシは、水辺に群れて生える背の高い草。オスがヨシの先など、目立つ場所で鳴いていることがあります。
コヨシキリは、湿原や草原にも注目
平地から高原の湿原や草原で見られます。オオヨシキリより乾いた草地でも見られますが、ヨシ原を利用することもあり、2種が同じ場所にいる場合もあります。コヨシキリの繁殖地は局地的で、どこの草原でも会えるわけではありません。
「水辺なら必ずオオヨシキリ」「高原なら必ずコヨシキリ」とは決められません。場所は候補を考えるヒントとして使い、最後は顔や声も確かめましょう。
参考:オオヨシキリの渡りと生息場所 / コヨシキリの渡りと生息場所 / 環境の違い / 同じ場所でさえずる2種の記録
初心者は、この順番で観察してみよう
- まず、声を聞く
太くにぎやかか、高く細やかか。姿が見えなくても、最初の手がかりになります。
- 遊歩道から、草の先をそっと探す
鳴いている方向のヨシや草の上を見ます。追いかけて草むらに入らず、双眼鏡があれば離れた場所から観察しましょう。
- 白い眉模様を見つけ、そのすぐ上を見る
はっきりした黒い頭側線が見えたら、コヨシキリの重要な手がかりです。
- 大きさと、聞いた声を合わせる
顔の特徴と声が一致するか、全体の大きさの印象も合わせて考えます。見えた特徴をメモしておくと、あとで図鑑と比べられます。
よく見えなかった日は、「ヨシキリの仲間かもしれない」で保留しても大丈夫。見えない特徴を想像で補うより、見えたこと・聞こえたことをひとつずつ増やすほうが、次の観察につながります。
3問で、見分けるポイントをおさらい
答えを考えてから、各問題を開いてみてください。
Q1 白い眉模様が見えたら、コヨシキリと決めていい?
それだけでは決められません。オオヨシキリにも淡い眉模様があります。白い眉のすぐ上に黒い頭側線があるか、確かめましょう。
Q2 15cm定規より少し短いのは、どちら?
コヨシキリです。全長約13.5〜14cmで、15cm定規より1〜1.5cmほど短い長さです。オオヨシキリは約18〜18.5cmあります。
Q3 「ギョギョシ!」という太い声が手がかりになるのは?
オオヨシキリです。コヨシキリのさえずりは、比較すると高く細やかで複雑に聞こえます。顔の模様も一緒に確かめると、見分ける根拠が増えます。
次に出会ったら、白い眉の上を見てみよう
オオヨシキリとコヨシキリを見分ける第一歩は、鳥のどこを見るかを知ることです。
- 大きさ:オオヨシキリは15cm定規より長め。コヨシキリは少し短め。
- 顔:コヨシキリは、白い眉模様のすぐ上に黒い頭側線。
- 声:オオヨシキリは太い「ギョギョシ」。コヨシキリは高く細やか。
- 口の中:さえずる成鳥では、オオヨシキリは赤〜橙赤色。コヨシキリは黄色。
川辺でにぎやかな声が聞こえたら、まず立ち止まって耳を澄ませてみてください。茶色い小鳥の顔に、次は新しい違いが見つかるかもしれません。


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