ヨーロッパアマツバメと、空飛ぶ半球睡眠のなぞ
夜行列車で、うとうと。目を開けたらもう次の駅。じゃあ、空の旅で何か月も着陸しない鳥は、いつ目を閉じるんだろう?
オチュンが追いかけるのは、鎌のような翼のヨーロッパアマツバメ(Apus apus)。日本で見られるアマツバメ(Apus pacificus)とは別の種だよ。
着陸の記録がない、約10か月
2016年、研究チームはヨーロッパアマツバメに小さな記録計を付けて追跡した。体の動きから飛んでいた時間を見積もると、子育てをしない約10か月のうち、99%を超える時間を空で過ごしていた。短い休止があった鳥もいれば、この期間に着地が記録されなかった鳥もいた。

2026年には、まだ成鳥になりきっていない若い1羽で、約19か月の連続飛行が報告された。季節がひと巡りして、さらに半年以上。ひとつは繁殖期の外を調べた研究、もうひとつは若い1羽を追った研究だよ。
オチュン19か月って、季節をひと回りしても、まだ空の上なんだね!
空が食堂。風に乗ってひと休み


ヨーロッパアマツバメは、飛びながら小さな虫をぱくり。巣材にする軽いものも空中で拾う。空には食堂も、巣づくりの材料売り場もあるみたいだね。子育ての時期には巣に戻る。
羽ばたきを休めて、翼を広げたまま滑るように飛ぶこともできる。昼に羽ばたきの記録が少なかったのは、暖かい空気がのぼる流れに乗って、長く滑空したためかもしれないと研究者は考えている。
翼が休んでいるとき、脳も眠っているのかな? 背中の記録計で分かるのは体の動き。眠りを調べるには、もうひとつ別の測り方がいる。
脳の半分が、交代でおやすみ?
半球睡眠は、左右に分かれた脳のうち、片側が眠り、もう片側は目覚めた状態に近い眠り方。片目を開けたまま周りを見られることがある。たとえば左の脳が眠っているとき、右の脳につながる左目が開く、という具合だ。


空でそれを確かめられた鳥がいる。ガラパゴス諸島のオオグンカンドリだ。研究者が雌14羽の左右の脳波(脳の電気活動の波)を測ると、海の上を飛びながら片側ずつ眠ることも、両側が同時に眠ることもあった。眠りは主に、上昇気流に乗って旋回する間に見られた。


空で眠った時間を足しても、平均で1日約42分。1回に42分ぐっすり、という意味ではなく、短い眠りを合わせた長さだよ。



空の上で、ほんのひと眠りができるなんてふしぎ!
じゃあ、アマツバメはいつ眠る?
ヨーロッパアマツバメも、空で眠っている可能性がある。けれど、ここで紹介した追跡研究は脳波を測っていない。いつ眠るのか、脳の片側ずつ眠るのかは、まだ答えが出ていない。


次に細長い翼の鳥を見かけたら、羽ばたきが止まる瞬間を探してみて。あの短い滑空のあいだ、鳥の頭の中では何が起きているんだろう。
おさらいクイズ



観察ノートを閉じる前に、4問だけ挑戦! 選択肢を押すと、正解と解説が開くよ。
Q1. 2016年の研究で、子育てをしない約10か月のうち、空にいた時間は?
A. 約50%
おしい! 正解は B「99%を超える」
記録計から、99%を超える時間を空で過ごしたと見積もられたよ。
B. 99%を超える
正解! 正解は B「99%を超える」
記録計から、99%を超える時間を空で過ごしたと見積もられたよ。
C. 昼間の時間だけ
おしい! 正解は B「99%を超える」
記録計から、99%を超える時間を空で過ごしたと見積もられたよ。
Q2. 約19か月の連続飛行が報告されたのは?
A. 追跡した成鳥すべて
おしい! 正解は C「若いヨーロッパアマツバメ1羽」
2026年の研究で追跡された、若い1羽の記録だよ。
B. 日本のアマツバメの群れ
おしい! 正解は C「若いヨーロッパアマツバメ1羽」
2026年の研究で追跡された、若い1羽の記録だよ。
C. 若いヨーロッパアマツバメ1羽
正解! 正解は C「若いヨーロッパアマツバメ1羽」
2026年の研究で追跡された、若い1羽の記録だよ。
Q3. 脳波で飛行中の半球睡眠が確かめられた鳥は?
A. オオグンカンドリ
正解! 正解は A「オオグンカンドリ」
オオグンカンドリでは、空で片側ずつ眠る場合も両側が眠る場合も記録されたよ。
B. ヨーロッパアマツバメ
おしい! 正解は A「オオグンカンドリ」
オオグンカンドリでは、空で片側ずつ眠る場合も両側が眠る場合も記録されたよ。
C. ツバメ
おしい! 正解は A「オオグンカンドリ」
オオグンカンドリでは、空で片側ずつ眠る場合も両側が眠る場合も記録されたよ。
Q4. ヨーロッパアマツバメの記録計で、脳の片側が眠ったと分かる?
A. 羽ばたきが止まれば分かる
おしい! 正解は B「体の動きからは判断できない」
追跡で分かるのは体の動きなど。脳の片側が眠ったかを確かめるには、左右の脳波を測る必要があるよ。
B. 体の動きからは判断できない
正解! 正解は B「体の動きからは判断できない」
追跡で分かるのは体の動きなど。脳の片側が眠ったかを確かめるには、左右の脳波を測る必要があるよ。
C. 夜に飛べば分かる
おしい! 正解は B「体の動きからは判断できない」
追跡で分かるのは体の動きなど。脳の片側が眠ったかを確かめるには、左右の脳波を測る必要があるよ。
出典
- Hedenström ほか(2016)。約10か月の飛行割合、空中での採食と日中の滑空。Annual 10-Month Aerial Life Phase in the Common Swift Apus apus
- Kearsley ほか(2026年オンライン公開)。若い1羽の約19か月の追跡。Insights from tracking a 19-month non-stop flight of a subadult Common Swift
- Hufkens・Kearsley(2025)。約19か月の研究で使用した記録データ。Insights from tracking a 19 month non-stop flight of a sub-adult common swift
- Rattenborg ほか(2016)。オオグンカンドリの飛行中の脳波、半球睡眠と睡眠時間。Evidence that birds sleep in mid-flight
- 日本鳥学会。日本のアマツバメとオオグンカンドリの和名・学名。日本鳥類目録 改訂第7版










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