飛行機の翼の先はなぜ曲がっている? オチュンと知るウイングレットのひみつ

メガネなしのオチュンが機内の窓側の席で少しこちらに顔を向け、短い翼で窓の外の青いウイングレットをさりげなく示すイラスト

空港の窓から飛行機を眺めていたら、翼の先が、ぴょこんと上を向いていました。

「あの小さな翼、何のために付いているんだろう?」

隣の飛行機を見ると、今度は上下に分かれた形。その向こうには、大きなひれを立てずに、すうっと後ろへ伸びる翼もあります。

飛行機の翼の先には、空気の流れを整えて、燃料を上手に使うための工夫が詰まっています。今回はオチュンと一緒に、ウイングレットの役割と、機種によって違う翼端の形を見てみましょう。

オチュン

名前を覚えた翼の先に、今度は『どうして?』を見つけたよ!

目次

ウイングレットは、翼の先で抵抗を減らす工夫

ウイングレットは、主翼の先に設ける、小さな翼のような部分です。 上へ立ち上がるものや、なめらかに曲がるもの、上下に分かれるものなど、さまざまな形があります。

「ウイング」は翼、「レット」は小さいものを表す言葉。名前のイメージは「小さな翼」です。

役割は、翼が飛行機を支える力を生むときに発生する、空気抵抗の一部を減らすこと。飛行機が前へ進むのを邪魔する力を小さくできれば、そのぶん燃料の節約につながります。

エアバスが「シャークレット」と呼ぶ大きな翼端装置も、同じように抵抗を減らすための工夫です。一方、B787のように後ろへ伸ばす翼端は「レイクド・ウイングチップ」と呼ばれ、上に立つウイングレットとは形も呼び名も違います。

まずは、翼の先には、いろいろな省エネの工夫があると覚えておきましょう。

翼の先では、空気が下から上へ回り込む

通常の飛行で揚力を生む主翼の上面と下面の圧力差と、下面から翼端を回って上面へ向かう空気、後ろへ続く翼端の渦を説明するオチュンの図解
翼端付近の流れをつかむための模式図です。翼が通常の飛行で上向きの力を生む場面を、わかりやすく簡略化しています。画像をクリック・タップすると拡大できます。

飛行機の翼は、空気の中を進みながら、機体を支える揚力(ようりょく)という力を生みます。

このとき、翼の上側は下側より圧力が低くなります。ところが、翼には端があります。その端では、圧力の高い下側から、圧力の低い上側へ、空気が回り込もうとするのです。

前から後ろへ流れる空気と、この回り込む流れが組み合わさり、翼の後ろには、くるくると回る流れが続きます。翼端付近にまとまって現れるものが、翼端渦(よくたんうず)です。

飛行機を支えるときにも、抵抗が生まれる

翼が揚力を生むと、後ろの空気の流れも下向きに変わります。こうした流れに伴って生まれる、飛行機の進行を妨げる抵抗を誘導抵抗(ゆうどうていこう)と呼びます。

少し難しい名前ですが、「空中で体を支えるために生まれる抵抗」と考えると、イメージしやすくなります。

ウイングレットは、翼端付近の空気の流れや、翼が力を受け持つ分布を変え、この抵抗を減らすように設計されています。渦を完全になくす装置ではありません。 揚力を生む翼の後ろには、ウイングレットがあっても渦を含む流れが残ります。

オチュン

空気をせき止めるだけじゃなくて、流れを上手に使う小さな翼なんだね!

小さな翼の先が、燃料の節約につながる

抵抗が小さくなれば、同じような条件で飛ぶとき、前へ進むために必要な力を減らせます。そのため、ウイングレットは燃料の使用量や、燃料を燃やして出る二酸化炭素を減らすことにつながります。

たとえばエアバスは、A320ファミリーのシャークレットについて、燃料の使用量を最大4%減らせると紹介しています。

ただし、これは、A320ファミリーのシャークレットについてメーカーが示した効果です。どの飛行機にも共通する数字ではなく、飛ぶ距離や運航の条件、翼端装置の種類によって効果は変わります。

飛行機の燃費は、翼の先だけで決まるものでもありません。翼全体の形、機体の重さ、エンジンなど、いくつもの工夫を組み合わせています。ウイングレットは、その中で働くひとつの工夫です。

見比べてみよう、4つの翼端の形

上へ曲がるB737NGの翼端、上下に分かれるB737 MAXの翼端、小さな上下のひれがあるA320従来型の翼端、後ろへ伸びるB787の翼端を見比べる図解
形の特徴を見比べる模式図で、同じ縮尺ではありません。B787は、後ろへ伸びる形がわかるように上から描いています。装備は機体によって異なります。画像をクリック・タップすると拡大できます。
見える形呼び名の例出会える機体の例
なめらかに上へ曲がるブレンデッド・ウイングレット、シャークレットB737NGの一部、A320ファミリーのシャークレット装備機など
上下に分かれるアドバンスト・テクノロジー・ウイングレット、スプリット・シミター・ウイングレット前者はB737 MAX、後者は改修したB737NGの一部
小さなひれが上下に出るウイングチップ・フェンスA320従来型の一部など
後ろへ流れるように伸びるレイクド・ウイングチップB787など

小さな画面では、表を横へ動かして読めます。

なめらかに上へ曲がる、大きな翼端

B737NGなどで見かける、主翼からなめらかにつながる形は、ブレンデッド・ウイングレットと呼ばれます。直角に板を付けるような形ではなく、根元が丸くつながっているのが見どころです。

A320ファミリーで見かけるシャークレットも、上へ伸びる大きな翼端装置。名前は違っても、翼端を工夫して抵抗を減らすという目的は共通しています。

上下に分かれていても、B737 MAXとは限らない

B737 MAXには、上側と下側へ伸びる、特徴的な翼端装置があります。

ただし、B737NGにも、スプリット・シミター・ウイングレットという、上下に分かれた装置を取り付けた機体があります。MAXの装置とは別のものです。

「上下に分かれているから、必ずMAX!」とは決められません。エンジンなど、ほかの特徴も合わせて見ましょう。

小さな上下のひれと、A320の世代

A320の従来型では、翼の先に小さな板が上下へ突き出すウイングチップ・フェンスを見かけます。

でも、従来型のA320にも、大きなシャークレットを装備した機体があります。新しい世代の「neo」だけに付いているわけではありません。

同じ機種の仲間でも、製造された時期や改修によって翼端の姿が変わることがあります。「形の違う仲間がいる」と知っていると、観察がさらに楽しくなります。

B787は、大きなひれを立てずに後ろへ伸ばす

B787の翼端を見ると、板のような大きなウイングレットは立っていません。主翼の先が、後ろへ流れるように細長く伸びています。

これがレイクド・ウイングチップです。翼端を上へ立てる方法とは違う形で、翼の効率を高める工夫をしています。

なお、飛んでいるB787の翼全体が上へしなることと、翼端に立ち上がる部品があることは別の話です。「ウイングレットがない=省エネの工夫がない」ではありません。

オチュン

上に伸ばす子、上下に分かれる子、後ろへ伸ばす子。翼の先にも個性があるね!

それなら、どの飛行機にも付ければいい?

空気の流れ、翼の重さと強さ、空港で使える幅の3つを、オチュンと一緒に確かめる図解
翼端の形を考えるときの代表的な要素です。形の良し悪しを採点する図ではありません。画像をクリック・タップすると拡大できます。

燃料を節約できるなら、すべての飛行機に同じウイングレットを付ければよさそうに思えます。

でも、部品を追加すれば、そのぶん重くなります。空気に触れる面積が増えることで生まれる抵抗もあり、翼にかかる力や、その力に耐える構造も考えなければなりません。

後からウイングレットを付ける場合にも、こうした影響を考え、もとの翼に合うように設計する必要があります。

翼を横へ長くする方法にも、効率を高める利点があります。一方で、翼を強くするための重さや、空港の駐機場・誘導路で使える幅との兼ね合いが生まれます。

その両方に向き合う例が、ボーイング777Xの折り畳み式翼端です。飛行中は広い翼を使い、地上では先を折り畳んで、空港で使う幅を抑える設計になっています。

空気の流れ、重さと強さ、空港で使える幅。 いろいろな条件を合わせて考えるから、翼端の形にも、ひとつだけの正解はないのです。

次の空港では、翼の先を3つの順番で見てみよう

最初は、難しい名前を全部覚えなくても大丈夫です。

  1. 形を見る。 上へ曲がる? 上下に分かれる? 後ろへ伸びる?
  2. 機体全体を見る。 翼端だけで決めず、エンジンや機首も眺めてみる。
  3. 名前を確かめる。 機体の登録記号や航空会社の機材紹介で答え合わせする。

今まで「曲がっているな」と見ていた翼の先が、空気や燃料のことまで考えてつくられた形に見えてきます。

機種ごとの特徴も知りたくなったら、こちらの記事もどうぞ。

オチュン

次に飛行機を見たら、翼の先から『空気をどう使っているのかな?』って想像してみよう!

オチュンと振り返る ウイングレットクイズ

選択肢をクリック・タップすると、正解と解説が表示されます。

第1問 ウイングレットの主な役割は?

A. 翼が揚力を生むときの抵抗を減らす

正解! 答えはAです。

翼端付近の流れなどを工夫して、揚力に伴って生まれる抵抗を減らします。燃料の節約につながる工夫です。

B. 飛行機を地上で曲がりやすくする

おしい! 答えはAです。

翼端付近の流れなどを工夫して、揚力に伴って生まれる抵抗を減らします。燃料の節約につながる工夫です。

C. エンジンの燃料をためておく

おしい! 答えはAです。

翼端付近の流れなどを工夫して、揚力に伴って生まれる抵抗を減らします。燃料の節約につながる工夫です。

第2問 翼端で回り込む空気は、どちら向き?

A. 圧力の低い上側から、高い下側へ

おしい! 答えはBです。

通常の飛行で上向きの揚力を生むとき、翼端では下面側から上面側へ空気が回り込みます。前から後ろへ向かう流れと組み合わさって、翼端の渦につながります。

B. 圧力の高い下側から、低い上側へ

正解! 答えはBです。

通常の飛行で上向きの揚力を生むとき、翼端では下面側から上面側へ空気が回り込みます。前から後ろへ向かう流れと組み合わさって、翼端の渦につながります。

C. いつも翼の中だけを流れる

おしい! 答えはBです。

通常の飛行で上向きの揚力を生むとき、翼端では下面側から上面側へ空気が回り込みます。前から後ろへ向かう流れと組み合わさって、翼端の渦につながります。

第3問 翼端が上下に分かれていたら、必ずB737 MAX?

A. 必ずMAXと決められる

おしい! 答えはCです。

B737NGにも、上下に分かれたスプリット・シミター・ウイングレットを装着した機体があります。MAXの翼端装置とは別のものです。

B. 必ずA320と決められる

おしい! 答えはCです。

B737NGにも、上下に分かれたスプリット・シミター・ウイングレットを装着した機体があります。MAXの翼端装置とは別のものです。

C. NGにも似た形があるので、ほかの特徴も確かめる

正解! 答えはCです。

B737NGにも、上下に分かれたスプリット・シミター・ウイングレットを装着した機体があります。MAXの翼端装置とは別のものです。

第4問 B787の翼端で見られる工夫は?

A. 大きなひれを立てず、後ろへ伸ばす

正解! 答えはAです。

B787は、後ろへ流れるように伸びるレイクド・ウイングチップを採用しています。大きなウイングレットが立っていなくても、翼端には工夫があります。

B. 翼端に小さなエンジンを付ける

おしい! 答えはAです。

B787は、後ろへ流れるように伸びるレイクド・ウイングチップを採用しています。大きなウイングレットが立っていなくても、翼端には工夫があります。

C. 飛行中は主翼を折り畳む

おしい! 答えはAです。

B787は、後ろへ流れるように伸びるレイクド・ウイングチップを採用しています。大きなウイングレットが立っていなくても、翼端には工夫があります。

第5問 どの飛行機にも同じウイングレットを付ければよい?

A. 大きいものを付けるほど、必ずよくなる

おしい! 答えはBです。

部品を追加すると重さや別の抵抗も増え、翼にかかる力も変わります。翼全体と運航の条件を合わせて設計します。

B. 翼全体の流れ、重さや強さ、空港で使える幅などで考える

正解! 答えはBです。

部品を追加すると重さや別の抵抗も増え、翼にかかる力も変わります。翼全体と運航の条件を合わせて設計します。

C. 付ければ重さも抵抗も完全にゼロになる

おしい! 答えはBです。

部品を追加すると重さや別の抵抗も増え、翼にかかる力も変わります。翼全体と運航の条件を合わせて設計します。

出典と参考資料

本文と図解は、次のメーカー・研究機関の公開資料をもとに構成しました。

情報確認:2026年11月7日。イラストは説明用に作成した模式図で、正確な設計図や流体解析の結果ではありません。

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この記事を書いた人

オチュン社長の付き人

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