雲はどの高さででき始める? オチュンと学ぶ持ち上げ凝結高度

メガネなしのオチュンが、底のそろった積雲を指す表紙

晴れた日に浮かぶ積雲を見上げると、雲の底が横にそろって見えることがあります。地上から上がった空気は、どこまで冷えると雲をつくり始めるのでしょうか。

前回は、空気を冷やして飽和する温度を露点温度と呼ぶことを学びました。今回は、地上の空気を上に持ち上げます。上昇中の空気の気温と露点を、オチュンと2本の線で追いかけてみましょう。

目次

空気は上がると膨らんで冷える

ここでは、地上付近の空気のひとかたまりを選んで追いかけます。このかたまりを空気塊(くうきかい)と呼びます。図の丸は、追いかける空気の範囲を示しています。

空気塊が上がると、周りの気圧が下がります。空気塊は膨らみ、周りの空気を押し広げるのにエネルギーを使うため、気温が下がります。外と熱をやりとりしないと考えたときの変化を、断熱変化と呼びます。

メガネなしのオチュンが、地上付近から上空へ移動すると膨らむ空気塊を指す図
図1 同じ空気塊を、地上付近と上空で比べた模式図です。上空では周りの気圧が低く、空気塊が膨らみます。点は水蒸気の目印で、この例では数が同じです。

上昇中は露点も下がる

露点は、その場所の空気を水蒸気圧を変えずに冷やしたときに飽和する温度です。では、空気塊を実際に上へ運ぶと、その露点はどうなるでしょうか。

飽和するまでは、周囲と混ざらないとすれば、空気塊に含まれる水蒸気の量は保たれます。一方、上がって膨らむと、空気塊の気圧が下がり、水蒸気が受け持つ圧力である水蒸気圧も下がります。水蒸気圧が小さいほど、飽和するまで冷やす必要があるため、その高さでの露点も下がります。

地上付近の未飽和な空気を追うときの目安として、ここでは 1km上がるごとに気温が約10℃、露点が約2℃下がるとします。気温のほうが速く下がるので、気温と露点の差は1kmでおよそ8℃縮まります。

オチュン
気温も露点も下がるんだね。気温のほうが速く下がるから、2本の線が近づいていくよ!

2本の線が出会う高さが持ち上げ凝結高度

地上で気温が24℃、露点が16℃の空気塊を考えます。図は、縦が地上からの高さ、横が温度です。地上の2つの点から、それぞれの線を上へたどってみましょう。

オチュンが指す図。地上で気温24℃・露点16℃、500mで19℃・15℃、1000mでともに14℃となり、気温と露点の線が出会う
図2 実線が空気塊の気温、破線が同じ空気塊の露点です。図中の数値は、1kmにつき気温が10℃、露点が2℃下がるとした学習用の近似値です。
地上からの高さ空気塊の気温空気塊の露点気温と露点の差
地上24℃16℃8℃
500m19℃15℃4℃
1,000m14℃14℃0℃

1,000m付近で気温と露点がともに14℃になり、相対湿度が100%に達します。こうして、空気塊を断熱的に持ち上げたとき、初めて飽和する高さを持ち上げ凝結高度(LCL)と呼びます。さらに持ち上がると、水蒸気の一部が凝結して小さな水滴になり、雲ができます。地上付近の空気が上昇してできる積雲では、LCLが雲の底の高さの目安になります。

オチュン
地上での露点は16℃だったけれど、線が出会ったときは気温も露点も14℃だね。

同じ気温なら露点が高いほうが先に飽和する

今度は、地上の気温が同じ24℃で、露点が20℃と16℃の2つの空気塊を比べます。どちらも同じ近似で上昇させると、気温と露点の差は1kmで8℃縮まります。

地上の気温が24℃で同じ2つの空気塊をオチュンが比較。露点20℃の場合は約500m、露点16℃の場合は約1000mで飽和する
図3 出発時の気温が同じ場合の比較です。気温と露点の差が小さい左の空気塊は、持ち上げる距離が短くても飽和します。

露点が20℃なら、出発時の差は4℃なので、差がゼロになるのは約0.5kmです。露点が16℃なら、差は8℃なので約1km。2つの例では、露点が高いほうが低い位置で飽和します。

この近似では、地上からLCLまでの高さ(km) ≈ 地上の気温と露点の差(℃) ÷ 8で計算できます。近くの地上付近で気温と露点が似た空気がいくつも持ち上がると、同じくらいの高さで飽和し、積雲の底がそろって見えることがあります。

雲底の目安を使うときに見ること

ここで計算したのは、選んだ空気塊が持ち上がって飽和するまでの距離です。空気がそこまで上がるかどうかは、上昇気流や大気の安定度にも関係します。周囲と混ざれば空気塊の気温や水蒸気の量も変わります。空の雲を観察するときは、どの高さから、どんな空気が上がったかを一緒に考えましょう。

試験へもう一歩 エマグラムで交点を探す

エマグラムでは、縦軸は気圧で、上に行くほど気圧が低くなります。出発点の気圧面で、空気塊の気温から乾燥断熱線を上へたどります。同じ気圧面の露点からは、飽和混合比が同じ線(等混合比線)を上へたどります。2本が交わる気圧面がLCLです。観測された周囲の気温と露点の線は、各高さにいる周囲の空気の値です。まず出発点を決め、持ち上げる空気塊の線を別に追いましょう。

確認クイズで気温と露点を追ってみよう

選択肢を押すと正誤と解説が表示されます。計算問題では、飽和するまで1kmにつき気温が10℃、露点が2℃下がるとします。

第1問 未飽和の空気塊が上がると、どうなる?

× 不正解です。

正解:2。 周りの気圧が低くなり、空気塊は膨らむときに周りを押し広げるため、冷えます。

○ 正解です。

正解:2。 周りの気圧が低くなり、空気塊は膨らむときに周りを押し広げるため、冷えます。

× 不正解です。

正解:2。 周りの気圧が低くなり、空気塊は膨らむときに周りを押し広げるため、冷えます。

第2問 凝結が始まる前、上昇中の露点はどう変わる?

○ 正解です。

正解:1。 水蒸気が空気塊から出入りしなくても、上昇して気圧が下がると水蒸気圧も下がり、露点は低くなります。

× 不正解です。

正解:1。 水蒸気が空気塊から出入りしなくても、上昇して気圧が下がると水蒸気圧も下がり、露点は低くなります。

× 不正解です。

正解:1。 水蒸気が空気塊から出入りしなくても、上昇して気圧が下がると水蒸気圧も下がり、露点は低くなります。

第3問 気温24℃・露点16℃の空気が500m上がると?

× 不正解です。

正解:3。 500mで気温は5℃、露点は1℃下がります。この高さではまだ4℃の差があります。

× 不正解です。

正解:3。 500mで気温は5℃、露点は1℃下がります。この高さではまだ4℃の差があります。

○ 正解です。

正解:3。 500mで気温は5℃、露点は1℃下がります。この高さではまだ4℃の差があります。

第4問 持ち上げ凝結高度では、何がそろう?

× 不正解です。

正解:2。 同じ空気塊の気温と露点が一致して、空気塊は飽和に達します。

○ 正解です。

正解:2。 同じ空気塊の気温と露点が一致して、空気塊は飽和に達します。

× 不正解です。

正解:2。 同じ空気塊の気温と露点が一致して、空気塊は飽和に達します。

第5問 地上の気温が24℃で同じなら、どちらが低い位置で飽和する?

○ 正解です。

正解:1。 露点20℃の空気は、出発時の差が4℃です。8℃の差がある露点16℃の空気より、少し上がるだけで飽和します。

× 不正解です。

正解:1。 露点20℃の空気は、出発時の差が4℃です。8℃の差がある露点16℃の空気より、少し上がるだけで飽和します。

× 不正解です。

正解:1。 露点20℃の空気は、出発時の差が4℃です。8℃の差がある露点16℃の空気より、少し上がるだけで飽和します。

第6問 地上で気温28℃・露点16℃なら、LCLは地上からおよそ何m?

× 不正解です。

正解:3。 出発時の差は12℃で、1km上がるごとに8℃縮まります。12 ÷ 8 = 1.5kmです。

× 不正解です。

正解:3。 出発時の差は12℃で、1km上がるごとに8℃縮まります。12 ÷ 8 = 1.5kmです。

○ 正解です。

正解:3。 出発時の差は12℃で、1km上がるごとに8℃縮まります。12 ÷ 8 = 1.5kmです。

第7問 エマグラムでLCLを読むとき、どの線を使う?

○ 正解です。

正解:1。 未飽和の空気塊の気温は乾燥断熱線で追います。露点は、水蒸気と乾いた空気の質量の比が一定と考えて、等混合比線で追います。

× 不正解です。

正解:1。 未飽和の空気塊の気温は乾燥断熱線で追います。露点は、水蒸気と乾いた空気の質量の比が一定と考えて、等混合比線で追います。

× 不正解です。

正解:1。 未飽和の空気塊の気温は乾燥断熱線で追います。露点は、水蒸気と乾いた空気の質量の比が一定と考えて、等混合比線で追います。

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出典と参考資料

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この記事を書いた人

オチュン社長の付き人

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