前回は、地上の空気を持ち上げると、どの高さで雲ができ始めるかを考えました。今回はその場所を、気象予報士試験でも使うエマグラムで探してみましょう。
エマグラムってどんな図?
エマグラムは、地上から上空まで、気温や露点がどう変わるかを1枚で見られるグラフです。たとえば気球で観測した気温と露点を、観測したときの気圧に合わせて点で置き、それぞれを線でつなぐと、上空の空気の状態が見えてきます。
- 横軸は温度(℃)。右へ行くほど高くなります。気温も露点も、同じ横軸で読みます。
- 縦軸は気圧(hPa)。上空ほど気圧が低いので、たとえば900 hPaの横線は1,000 hPaの横線より上にあります。
エマグラムには、空気を持ち上げたら気温や露点がどう変わるかをたどるためのガイド線も引かれています。今回はそのうち2本を使い、前回と同じ気温24℃・露点16℃の空気が、どの気圧で飽和するかを調べます。出発点の気圧は1,000 hPaとします。
① 1,000 hPaの横線に2つの出発点を置く
最初に、地上の気圧である1,000 hPaの横線を探します。その横線の上で、気温24℃の位置に丸、露点16℃の位置に四角を置きます。気温も露点も、地上にいる同じ空気塊の値です。

オチュン② 気温と露点から、それぞれの線を上へたどる





オレンジ色の実線は乾燥断熱線です。雲ができる前の空気が、周りと熱をやりとりせずに上がると、膨らんで冷えます。そのときの気温を、この線でたどります。
青緑の破線は等混合比線です。持ち上げている同じ空気の露点を、この線でたどります。
上へ進むにつれ、気温も露点も低くなります。気温のほうが速く下がるので、2本の線は次第に近づきます。図の同じ横線の上で、実線と破線の間隔を見比べてみましょう。
③ 交点から左へ進み、気圧を読む
2本の線が出会うと、空気塊の気温と露点が一致し、空気塊が飽和します。ここが持ち上げ凝結高度(LCL)です。交点から横に左へ進んで、縦軸の気圧を読みます。





この例の交点は約890 hPa、約14℃です。前回は地上から約1,000 mと見積もり、今回は飽和する気圧面を求めました。気圧面を地上からの高さに直すときは、高層観測などで、出発点と交点にあたる気圧面の高度を確認し、その差をとります。
露点だけが高くなったら、交点はどう動く?
地上の気圧1,000 hPaと気温24℃はそのままに、露点を16℃から20℃に変えます。橙色の線は同じで、青緑の線の出発点だけが右へ移ります。気温と露点の差が小さいぶん、持ち上げる距離が短くても飽和し、交点は図の下側、より気圧の高い位置に移ります。
この例と同じ方法で描くと、露点20℃のときの交点は約940 hPaです。1,000 hPaから上に向かってたどると、約940 hPaのほうが、約890 hPaより先に通ります。
試験へもう一歩 混合比と、観測の線の見分け方
混合比は、乾いた空気の質量に対する水蒸気の質量の割合です。たとえば11 g/kgなら、乾いた空気1 kgあたりに水蒸気が11 g含まれています。空気塊が周りと混ざらず、水蒸気がまだ凝結していない間は、持ち上げても混合比は一定です。各気圧で、その混合比のまま飽和する温度が露点です。等混合比線はその温度をつないだ線で、等飽和混合比線とも呼ばれます。
高層観測のエマグラムに描かれた気温と露点の線は、それぞれの気圧面で観測した周りの空気の値です。LCLを探すときは、持ち上げる空気塊の出発点を選び、その気温から乾燥断熱線、その露点から等混合比線をたどります。出発点が地上以外に指定されている問題では、その気圧面に気温と露点の2点を置きます。
確認クイズで2本の線をたどろう
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
第1問 地上が1,000 hPa、気温24℃、露点16℃のとき、最初にどこへ点を置く?
第2問 24℃の気温の点から、どの線をたどる?
第3問 16℃の露点の点から、どの線をたどる?
第4問 2本の交点からLCLの気圧を読むには?
第5問 気圧1,000 hPaと気温24℃が同じで、露点だけを16℃から20℃へ上げると?
第6問 LCLが約890 hPaと読めた。地上からの高さを知るには?
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- オチュンと学ぶ大気の鉛直構造 — 上空の気圧と気温の変化を学びます。
出典と参考資料
- 気象庁「ラジオゾンデによる高層気象観測」 — エマグラムの軸とガイド線、観測した気温・露点の線。
- 気象庁監修「図解説 中小規模気象学」 — 気温から乾燥断熱線、露点から等飽和混合比線をたどる方法。
- 米国大気研究センター「SCMS95 Facility/Data Documentation」 — 持ち上げ凝結高度の定義と2本のガイド線の交点。
- David Bolton「The Computation of Equivalent Potential Temperature」 — 図の計算に用いた飽和水蒸気圧の近似式。










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