朝の天気予報で「湿度100%」と聞くと、空気が水でいっぱいになったように感じませんか。でも、冬の冷たい空気と、夏の暖かい空気。同じ100%でも、含まれる水蒸気の量は違います。
手がかりは、相対湿度は、その気温でどれくらい飽和に近いかを表す数字だということ。そして、露点は、冷やすと飽和に達する温度だということです。
オチュンと一緒に、湿度の「%」と露点の「℃」を読み分けてみましょう。冷たいコップにつく水滴から、霧や雲の入り口まで、身近な景色がつながります。

湿度100%は空気の全部が水という意味ではない
天気予報でいう湿度は、ふつう相対湿度(そうたいしつど)のことです。その気温で水蒸気が飽和する状態を100%として、現在の状態を比べています。
飽和(ほうわ)とは、水蒸気が水面に対してつり合う状態に達すること。冷却によってそこへ近づき、さらに冷えると、水蒸気の一部が水滴になりやすくなります。
100%になっても、空気の中の窒素や酸素がなくなるわけではありません。「空気の成分の100%が水蒸気」という意味ではないのです。
また、気体の水蒸気そのものは透明で、目には見えません。白い霧や雲として見えるのは、小さな水滴や氷の粒です。図の中の青い点は、見えないものを考えるための目印にしています。
オチュン相対湿度は今の水蒸気圧と飽和水蒸気圧の比
試験の勉強につなげるため、少しだけ「圧力」で考えてみましょう。
空気全体の圧力のうち、水蒸気が受け持つ分を水蒸気圧といいます。単位はhPa(ヘクトパスカル)です。
では、「水面に対して飽和」とは、どういうことでしょう。水を少し入れて、ふたをした透明な箱を想像してみてください。水と箱の中の空気は同じ温度に保ち、水が全部なくならない場合を考えます。
水面では、水の分子が空中へ飛び出して水蒸気になる蒸発と、水蒸気の分子が水面に戻って液体になる凝結が、同時に起きています。


はじめに水蒸気が少なければ、水面から出ていくほうが多く、箱の中の水蒸気が増えます。水蒸気が増えると、水面へ戻る分子も増えていきます。
やがて、同じ時間に出ていく量と戻ってくる量が等しくなり、水蒸気の量が全体として変わらなくなります。このつり合いが「水面に対して飽和した状態」です。そのときの水蒸気圧が、飽和水蒸気圧です。
飽和しても、水の出入りが止まるわけではありません。 出る量と戻る量が同じなので、全体として増えも減りもしないのです。
天気の話では、このつり合いの値を基準にして、空気の状態を比べます。「水面に対して」といっても、空の中に本物の水面が必要、という意味ではありません。
相対湿度は、次の式で求められます。
相対湿度(%)= 水蒸気圧 ÷ その気温の飽和水蒸気圧 × 100
たとえば、気温20℃の飽和水蒸気圧を23.4hPa、現在の水蒸気圧を11.7hPaとすると、11.7÷23.4×100=50%。現在の水蒸気圧が、飽和の値の半分ということです。


大切なのは、気温が高いほど、飽和水蒸気圧は大きくなることです。水蒸気圧が同じでも、比べる相手が変われば、相対湿度は変わります。
10℃と30℃の空気をどちらも湿度100%にした場合、1m³に含まれる水蒸気の質量は、それぞれ約9.4gと約30.3g。同じ100%でも、量は同じではありません。ここで比べているのは、同じ体積に含まれる水蒸気です。
試験へもう一歩 水蒸気量という言葉の読み方
水蒸気の多さには、1m³あたりの質量で表す「水蒸気密度」、乾いた空気の質量に対する比で表す「混合比」など、複数の表し方があります。水蒸気圧も、その状態を表す一つの量です。「水蒸気量が一定」という説明を計算に使うときは、何を一定にしているかを確かめましょう。この記事の冷却の例では、水蒸気圧を一定にしています。
水蒸気を増やさなくても冷やすと湿度が上がる
今度は、水蒸気圧を約12.3hPaに保ちながら、空気を20℃から冷やす例です。途中では水蒸気を加えず、飽和に達するまで凝結も起きないと考えます。
気温が下がると、式の分母にある飽和水蒸気圧が小さくなります。その結果、相対湿度は高くなっていきます。


| 気温 | 飽和水蒸気圧の目安 | 現在の水蒸気圧 | 相対湿度 |
|---|---|---|---|
| 20℃ | 約23.4hPa | 約12.3hPa | 約53% |
| 15℃ | 約17.0hPa | 約12.3hPa | 約72% |
| 10℃ | 約12.3hPa | 約12.3hPa | 100% |
湿度が上がったからといって、水蒸気が増えたとは限りません。 この例では、気温が下がって飽和に近づいたために、湿度が上がりました。
夜から朝にかけて気温が下がり、湿度が高くなることも、この考え方で理解できます。実際の屋外では、風による空気の入れ替わりや、地面からの蒸発も一緒に起きています。
露点は冷やすと飽和に達する温度
図3では、10℃に達したところで相対湿度が100%になりました。この空気の露点温度(ろてんおんど)は、10℃です。「露点」と短く呼ぶこともあります。
気象庁の定義では、露点温度は、水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき、相対湿度が100%になる温度です。
現在の気温と露点は、同じ数字とは限りません。図3の出発時は「気温20℃・露点10℃」。そこから冷やしている間も、水蒸気圧を変えなければ、飽和に達するまでは露点10℃のままです。
さらに冷やして凝結が進むと、水蒸気の一部が水滴へ変わります。ここから先まで、水蒸気圧も露点もずっと同じ、と考えないようにしましょう。



コップの水滴はまわりの空気からやってくる
冷たい飲み物を入れたコップの外側に、水滴がついたことはありませんか。コップに穴が開いていなくても、外側はぬれます。
たとえば、部屋の気温が20℃、露点が10℃で、コップの表面が8℃になったとします。コップのすぐそばの空気は、冷たい表面に触れて冷やされ、水蒸気が外側の表面で凝結(ぎょうけつ)します。こうして水滴がつく現象が、結露です。


ここで注目するのは、部屋全体の気温と、コップの表面温度は違うことです。部屋の湿度が100%でなくても、表面付近が十分に冷えれば、結露は起きます。
草や葉に露がつく場合も、表面が冷えることが大切です。冷却の仕方や氷のでき方は、霜を学ぶときにもつながります。
気温と露点の差で飽和までの近さを見る
天気の資料に気温と露点が並んでいたら、まず気温−露点温度を計算してみましょう。この差は、露点温度差とも呼ばれます。
同じ気温25℃で、露点が20℃の空気と、5℃の空気を比べてみます。差はそれぞれ5℃と20℃です。


左の空気は、気圧と水蒸気の割合を変えずに冷やすなら、5℃の冷却で飽和に達します。右は20℃の冷却が必要です。同じ気温なら、露点が高いほうが、水蒸気圧も高くなります。
ただし、違う気温の空気同士では、差が同じでも、相対湿度がぴったり同じになるとは限りません。露点そのものの値も見ながら、何を比べているかを確かめましょう。
試験へもう一歩 上昇する空気では露点も変わる
ここまでの冷却は、水蒸気圧を一定とした例です。空気塊を上へ持ち上げる場合は、周囲の気圧が下がり、未飽和の空気塊の露点も下がります。出発時の露点を固定して、雲のできる高さを計算しないようにしましょう。持ち上げた空気の気温と、その高さでの露点が一致するところが、持ち上げ凝結高度を考える目安です。
露と霧と雨は水滴のある場所と成長が違う
水蒸気が凝結してできた水滴でも、どこにあるかで、見え方は変わります。
葉やコップなどの表面につく水滴が露や結露。地面の近くの空中に小さな水滴が浮かび、見通しが悪くなるものが霧です。雲も、水滴や氷の粒が空中に集まったものです。


湿度100%は、その場所の空気が飽和しているという情報です。必ず雨が降るという予告ではありません。 雨になるには、雲の中で粒が成長して落下し、地上まで届く過程も必要です。地上の湿度だけを見て、上空の雲や雨まで決めることはできません。
一方、地上の湿度が100%になる前に、上空の雲から雨が降ってくることもあります。「雨が降っているから、地上の湿度は必ず100%」という判断も避けましょう。
確認クイズ8問で数字の意味を確かめよう
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。計算問題では、ここに書かれた学習用の数値を使ってください。すべてオリジナル問題です。
第1問 相対湿度100%は何を意味する?
第2問 水蒸気圧11.7hPa、飽和水蒸気圧23.4hPaなら、相対湿度は?
第3問 水蒸気圧を変えず、未飽和の空気を飽和するまで冷やすと?
第4問 気温20℃の空気を水蒸気圧一定で冷やし、10℃で飽和した。露点は?
第5問 部屋の相対湿度が100%より低いと、コップの外側に結露は起きない?
第6問 どちらも気温25℃。露点20℃のAと、露点5℃のBでは、どちらが飽和に近い?
第7問 10℃と30℃の空気がどちらも湿度100%。同じ体積に含まれる水蒸気は?
第8問 地上の相対湿度が100%なら、必ず雨が降る?
気温と湿度を見たら露点も思い浮かべよう
湿度は、その気温での飽和との比。露点は、冷やすと飽和に達する温度。この二つを読み分けると、%の数字だけではわからなかった空気の様子が見えてきます。
次に冷たいコップに水滴がついたら、「今、コップのすぐそばでは、空気が露点まで冷やされているのかな」と考えてみてください。小さな水滴は、見えない水蒸気を知る手がかりになります。
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出典と参考資料
- 気象庁 気温、湿度 — 相対湿度、飽和、水蒸気、露点温度の定義。
- 気象庁 船舶気象観測指針 改訂第8版 — 第3章の蒸気圧・飽和蒸気圧・相対湿度・露点温度の関係。
- 近藤純正 M33 水蒸気 要点 — 水蒸気量の表し方と、表33.1の飽和水蒸気圧・飽和水蒸気密度。10℃・20℃・30℃の比較に使用。
- 米国国立気象局 Vapor Pressure Calculator — 図3・比較表の計算方法。リンク先の計算式による水面に対する飽和水蒸気圧を丸めて使用。
- 米国国立気象局 Dew Point vs Humidity — 露点と相対湿度の違い。
- 米国国立気象局 A Discussion of Water Vapor Humidity and Dewpoint — 飽和、気温と露点、雲・降水との関係。
- 英国気象庁 Dew — 表面の冷却と、露・結露のでき方。
- 英国気象庁 Understanding humidity — 相対湿度、混合比などの違いと湿度の基本。
- オーストラリア気象局研修センター Fundamentals of Aviation Meteorology 講義ノート — PDF10ページの、未飽和の空気の気温と露点の経路、混合比線の説明。
- ペンシルベニア州立大学 Condensation and Evaporation — 水面から出る分子と戻る分子、蒸発と凝結がつり合う飽和の説明。
- 気象庁 はれるんランド どうして水は水蒸気に変わるの — 水面にある水の分子が飛び出す蒸発の説明。
数値例は仕組みを説明するための設定で、実際の日の観測値ではありません。図とクイズは本記事のために制作したものです。










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