晴れた日に浮かぶ積雲を見上げると、雲の底が横にそろって見えることがあります。地上から上がった空気は、どこまで冷えると雲をつくり始めるのでしょうか。
前回は、空気を冷やして飽和する温度を露点温度と呼ぶことを学びました。今回は、地上の空気を上に持ち上げます。上昇中の空気の気温と露点を、オチュンと2本の線で追いかけてみましょう。
空気は上がると膨らんで冷える
ここでは、地上付近の空気のひとかたまりを選んで追いかけます。このかたまりを空気塊(くうきかい)と呼びます。図の丸は、追いかける空気の範囲を示しています。
空気塊が上がると、周りの気圧が下がります。空気塊は膨らみ、周りの空気を押し広げるのにエネルギーを使うため、気温が下がります。外と熱をやりとりしないと考えたときの変化を、断熱変化と呼びます。

上昇中は露点も下がる
露点は、その場所の空気を水蒸気圧を変えずに冷やしたときに飽和する温度です。では、空気塊を実際に上へ運ぶと、その露点はどうなるでしょうか。
飽和するまでは、周囲と混ざらないとすれば、空気塊に含まれる水蒸気の量は保たれます。一方、上がって膨らむと、空気塊の気圧が下がり、水蒸気が受け持つ圧力である水蒸気圧も下がります。水蒸気圧が小さいほど、飽和するまで冷やす必要があるため、その高さでの露点も下がります。
地上付近の未飽和な空気を追うときの目安として、ここでは 1km上がるごとに気温が約10℃、露点が約2℃下がるとします。気温のほうが速く下がるので、気温と露点の差は1kmでおよそ8℃縮まります。
オチュン2本の線が出会う高さが持ち上げ凝結高度
地上で気温が24℃、露点が16℃の空気塊を考えます。図は、縦が地上からの高さ、横が温度です。地上の2つの点から、それぞれの線を上へたどってみましょう。


| 地上からの高さ | 空気塊の気温 | 空気塊の露点 | 気温と露点の差 |
|---|---|---|---|
| 地上 | 24℃ | 16℃ | 8℃ |
| 500m | 19℃ | 15℃ | 4℃ |
| 1,000m | 14℃ | 14℃ | 0℃ |
1,000m付近で気温と露点がともに14℃になり、相対湿度が100%に達します。こうして、空気塊を断熱的に持ち上げたとき、初めて飽和する高さを持ち上げ凝結高度(LCL)と呼びます。さらに持ち上がると、水蒸気の一部が凝結して小さな水滴になり、雲ができます。地上付近の空気が上昇してできる積雲では、LCLが雲の底の高さの目安になります。



同じ気温なら露点が高いほうが先に飽和する
今度は、地上の気温が同じ24℃で、露点が20℃と16℃の2つの空気塊を比べます。どちらも同じ近似で上昇させると、気温と露点の差は1kmで8℃縮まります。


露点が20℃なら、出発時の差は4℃なので、差がゼロになるのは約0.5kmです。露点が16℃なら、差は8℃なので約1km。2つの例では、露点が高いほうが低い位置で飽和します。
この近似では、地上からLCLまでの高さ(km) ≈ 地上の気温と露点の差(℃) ÷ 8で計算できます。近くの地上付近で気温と露点が似た空気がいくつも持ち上がると、同じくらいの高さで飽和し、積雲の底がそろって見えることがあります。
雲底の目安を使うときに見ること
ここで計算したのは、選んだ空気塊が持ち上がって飽和するまでの距離です。空気がそこまで上がるかどうかは、上昇気流や大気の安定度にも関係します。周囲と混ざれば空気塊の気温や水蒸気の量も変わります。空の雲を観察するときは、どの高さから、どんな空気が上がったかを一緒に考えましょう。
試験へもう一歩 エマグラムで交点を探す
エマグラムでは、縦軸は気圧で、上に行くほど気圧が低くなります。出発点の気圧面で、空気塊の気温から乾燥断熱線を上へたどります。同じ気圧面の露点からは、飽和混合比が同じ線(等混合比線)を上へたどります。2本が交わる気圧面がLCLです。観測された周囲の気温と露点の線は、各高さにいる周囲の空気の値です。まず出発点を決め、持ち上げる空気塊の線を別に追いましょう。
確認クイズで気温と露点を追ってみよう
選択肢を押すと正誤と解説が表示されます。計算問題では、飽和するまで1kmにつき気温が10℃、露点が2℃下がるとします。
第1問 未飽和の空気塊が上がると、どうなる?
第2問 凝結が始まる前、上昇中の露点はどう変わる?
第3問 気温24℃・露点16℃の空気が500m上がると?
第4問 持ち上げ凝結高度では、何がそろう?
第5問 地上の気温が24℃で同じなら、どちらが低い位置で飽和する?
第6問 地上で気温28℃・露点16℃なら、LCLは地上からおよそ何m?
第7問 エマグラムでLCLを読むとき、どの線を使う?
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出典と参考資料
- 気象庁「気温、湿度」 — 相対湿度・飽和・露点温度の定義。
- 米国国立気象局「Skew-T Parameters and Indices」 — 持ち上げ凝結高度と、未飽和で上昇する空気の気温・露点の変化率の目安。
- 米国大気研究センター(NCAR)「SCMS95 Facility/Data Documentation」 — LCLの定義と、乾燥断熱線・混合比線を使う読み方。
- 気象庁「ラジオゾンデによる高層気象観測」 — エマグラムの軸・ガイド線と、周囲の観測値の読み方。










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